肝臓エラストグラフィ|脂肪肝・肝機能異常を指摘された方へ
永田胃腸・消化器医院では、健診結果、診察、血液検査、腹部超音波検査などをもとに、肝臓の状態を丁寧に評価しています。
脂肪肝や肝機能異常を指摘された方の中には、肝臓の炎症や線維化が進んでいる可能性がある方もいます。そのような場合には、FIB-4 index、血小板数、肝線維化マーカー、腹部エコー所見などを参考にし、医学的に必要と判断される場合に、肝臓エラストグラフィによる肝臓の硬さの評価を検討します。
肝臓エラストグラフィは、脂肪肝や肝機能異常を指摘された方全員に行う検査ではありません。診察・採血・腹部エコーなどの結果を踏まえ、肝線維化や肝硬変の可能性を評価する必要がある場合に実施を検討します。
当院では、富士フイルム製の高性能超音波診断装置「ARIETTA 650 DeepInsight」を導入しています。AI技術を用いて開発された画像処理技術により、ノイズを抑え、肝臓や腹部臓器をより見やすく描出することが期待されます。検査は日本超音波医学会の認定超音波検査士が担当し、消化器疾患に精通した医師が結果を確認します。
肝臓エラストグラフィとは
肝臓エラストグラフィとは、超音波を用いて肝臓の「硬さ」を評価する検査です。
肝臓は、炎症やダメージが長く続くと、徐々に線維化が進み、硬くなっていきます。肝臓の線維化が進むと、肝硬変や肝がんのリスクが高くなるため、脂肪肝や肝機能異常を指摘された方では、単に「脂肪があるかどうか」だけでなく、「肝臓が硬くなっていないか」を確認することが大切です。
肝臓エラストグラフィで主に評価するのは、肝臓に脂肪があるかどうかではなく、肝臓が硬くなっていないか、つまり線維化が進んでいないかという点です。脂肪肝の多くはすぐに重い病気に進むわけではありませんが、線維化が進んでいる場合は、将来的な肝硬変や肝がんのリスクを考え、より慎重な経過観察が必要になります。
従来、肝臓の線維化を詳しく調べるには肝生検という検査が行われることがありました。肝生検は、肝臓の一部を針で採取して顕微鏡で調べる検査ですが、入院や出血リスクを伴うことがあります。エラストグラフィは、体の外から超音波を当てて肝臓の硬さを評価するため、痛みや被ばくがなく、外来で行いやすい検査です。
ただし、エラストグラフィだけで病名を確定するものではありません。採血、腹部エコー、飲酒歴、体重変化、糖尿病・脂質異常症・高血圧の有無、内服薬などを確認し、総合的に判断します。
このような方は一度ご相談ください
次のような方は、肝臓の状態を確認するために一度ご相談ください。
・健診で脂肪肝を指摘された
・ALT、AST、γ-GTPなどの肝機能異常を指摘された
・肝機能異常が数年続いている
・糖尿病、肥満、脂質異常症、高血圧がある
・中性脂肪が高く、脂肪肝も指摘されている
・お酒はあまり飲まないのに肝臓の数値が高い
・FIB-4 indexが高いと言われた
・血小板が少なめと言われた
・NASH/MASHが疑われると言われた
・B型肝炎、C型肝炎、アルコール性肝障害などで肝線維化の評価が必要と言われた
・肝硬変の可能性について確認が必要と言われた
まずは、健診結果、採血、腹部エコーなどで肝臓の状態を確認します。そのうえで、肝線維化の進行や肝硬変の可能性が疑われる場合など、医学的に必要と判断される場合に肝臓エラストグラフィを検討します。
脂肪肝で大切なのは「脂肪の量」だけではありません
脂肪肝と聞くと、「肝臓に脂肪がついているかどうか」だけが問題と思われがちです。しかし、実際に重要なのは、肝臓に炎症や線維化が起きていないかです。
肝臓の線維化が進んでいる方では、将来的に肝硬変や肝がんのリスクが高くなることがあります。そのため、当院では次のような項目を組み合わせて評価します。
・腹部エコーで脂肪肝、肝腫瘤、胆のう、膵臓などを確認
・肝臓エラストグラフィで肝臓の硬さを評価
・採血でAST、ALT、γ-GTP、血小板、脂質、血糖、HbA1cなどを確認
・FIB-4 indexなどの線維化スコアを確認
・必要に応じてウイルス性肝炎、自己免疫性肝疾患、胆道系疾患などを評価
・さらに詳しい検査が必要な場合は、CT、MRI、専門病院への紹介を検討
「脂肪肝だから痩せればよい」という一言で終わらせず、肝臓の状態を段階的に評価することが重要です。
脂肪肝の評価では、飲酒量の確認も大切です。飲酒量、肥満、糖尿病、脂質異常症、高血圧などの有無により、脂肪肝の考え方や今後の対応が変わることがあります。
当院の肝臓エラストグラフィの特徴
1. 消化器・肝臓疾患をふまえた評価
永田胃腸・消化器医院は、消化器内科・内視鏡内科を専門とするクリニックです。肝臓だけでなく、胆のう、膵臓、胃腸の疾患も含めて総合的に診療しています。
肝機能異常の原因は脂肪肝だけとは限りません。胆石、胆管の異常、膵臓の病気、ウイルス性肝炎、薬剤性肝障害、自己免疫性肝疾患などが関係することもあります。当院では、腹部エコーや採血を組み合わせ、肝臓の数値が高い原因を丁寧に確認します。
2. 腹部エコーとエラストグラフィを組み合わせて評価
肝臓エラストグラフィは、肝臓の硬さを評価する検査です。一方、腹部エコーでは、肝臓の形、脂肪肝の有無、肝腫瘤、胆のう結石、胆のうポリープ、膵臓、腎臓、腹部大動脈などを観察できます。
両方を組み合わせることで、脂肪肝だけでなく、見逃したくない腹部臓器の異常も確認しやすくなります。
3. 認定超音波検査士が検査を担当
当院では、日本超音波医学会の認定超音波検査士が超音波検査を担当します。超音波検査は、装置の性能だけでなく、検査を行う技術、観察する部位の選び方、画像の読み取りが重要です。
患者様が安心して検査を受けられるよう、丁寧で正確な検査を心がけています。
4. 富士フイルム製高性能超音波診断装置を導入
当院では、富士フイルム製の高性能超音波診断装置「ARIETTA 650 DeepInsight」を導入しています。
AI技術を用いて開発された画像処理技術により、ノイズを抑え、肝臓や腹部臓器の構造をより見やすく描出することが期待されます。AIが自動で病気を診断するものではありませんが、見やすい画像を得ることは、適切な評価を行ううえで重要です。
検査の流れ
1. まず外来で診察します
健診結果、採血結果、内服薬、飲酒量、体重変化、既往歴などを確認します。健診結果をお持ちの方は、当日ご持参ください。
2. 必要に応じて採血を行います
AST、ALT、γ-GTP、ALP、ビリルビン、血小板、アルブミン、脂質、血糖、HbA1cなどを確認します。必要に応じて、B型肝炎、C型肝炎、自己免疫性肝疾患などの検査を追加します。
3. 必要に応じて腹部エコーを予約します
超音波検査は指定検査日での完全予約制です。腹部エコーでは、脂肪肝の有無や程度の目安、肝臓の形、肝腫瘤、胆のう、膵臓、腎臓などを確認します。
肝臓エラストグラフィは、腹部エコーや採血などの結果を踏まえ、肝線維化や肝硬変の可能性を評価する必要がある場合に実施を検討します。脂肪肝や肝機能異常を指摘された方全員に行う検査ではありません。
4. 検査結果を説明します
肝臓の脂肪の程度、肝臓の硬さ、胆のう・膵臓などの状態を確認し、今後の方針をご説明します。必要に応じて、生活習慣の改善、薬物療法、定期フォロー、CT・MRI、専門病院への紹介を検討します。
検査を受ける際の注意点
腹部エコーや肝臓エラストグラフィでは、食事の影響で胆のうや膵臓、肝臓の観察が難しくなることがあります。検査前の食事制限については、予約時にご案内します。
また、体格、肋骨の位置、腸管ガス、肝臓の炎症の程度などにより、測定値に影響が出ることがあります。1回の数値だけで判断せず、採血や画像所見、経過を含めて総合的に評価します。
よくある質問
Q. 肝臓エラストグラフィは痛いですか?
痛みはほとんどありません。通常の腹部エコーと同じように、お腹にゼリーを塗り、プローブを当てて検査します。放射線被ばくもありません。
Q. 脂肪肝と言われただけでも肝臓エラストグラフィを受けた方がよいですか?
脂肪肝を指摘された方全員に、肝臓エラストグラフィが必要になるわけではありません。
まずは、健診結果、飲酒量、体重変化、糖尿病・脂質異常症・高血圧の有無、採血、腹部エコーなどを確認します。FIB-4 index高値、血小板低値、肝線維化マーカー高値、NASH/MASH疑い、肝硬変の可能性などがある場合に、肝臓エラストグラフィによる肝臓の硬さの評価を検討します。
Q. 採血だけでは肝臓の状態はわかりませんか?
採血は非常に重要ですが、採血だけで肝臓の脂肪の程度や線維化、胆のう・膵臓などの状態をすべて把握することはできません。腹部エコーやエラストグラフィを組み合わせることで、より立体的に肝臓の状態を評価できます。
Q. エラストグラフィで肝がんはわかりますか?
エラストグラフィは主に肝臓の硬さを評価する検査です。肝がんそのものを診断する検査ではありません。肝腫瘤の確認には腹部エコー、CT、MRI、採血などを組み合わせて判断します。
Q. 健診結果は持参した方がよいですか?
はい。過去の肝機能、血小板数、脂質、血糖、体重変化がわかると、肝臓の状態をより正確に判断しやすくなります。健診結果や人間ドックの結果をお持ちください。
健診で脂肪肝・肝機能異常を指摘された方はご相談ください
脂肪肝や肝機能異常は、症状がないまま進むことがあります。
永田胃腸・消化器医院では、健診結果、採血、腹部エコーなどをもとに、肝臓の状態を丁寧に評価します。肝線維化の進行や肝硬変の可能性が疑われる場合には、医学的必要性を判断したうえで、肝臓エラストグラフィの実施を検討します。
「脂肪肝と言われたが、何をすればよいかわからない」
「肝機能異常を毎年指摘されている」
「FIB-4 indexが高いと言われた」
「肝臓の線維化が心配」
このような方は、健診結果をご持参のうえ、一度当院へご相談ください。
関連ページ
・超音波(エコー)検査
・脂肪性肝疾患(脂肪肝・MASLD/MASH)
・脂質異常症と言われた方へ
・頸動脈エコー
・健診で異常を指摘された方へ
参考文献・参考資料
日本消化器病学会・日本肝臓学会 編:MASLD診療ガイドライン2026(改訂第3版)-代謝機能障害関連脂肪性肝疾患-.南江堂,2026年.
日本消化器病学会・日本肝臓学会 編:患者さんとご家族のためのNAFLD/NASHガイド2023.2023年.
日本超音波医学会:超音波エラストグラフィ診療ガイドライン:肝臓.
日本超音波医学会 用語・診断基準委員会:脂肪肝の超音波診断基準.2021年.
富士フイルム:ARIETTA 650 DeepInsight SE 製品情報.
富士フイルム:ARIETTA 650 DeepInsight SE 画像処理技術情報.
この記事の執筆者
理事長・院長 永田 浩一
略歴
1996年 国立群馬大学医学部医学科卒業
1996年-2001年 東京女子医科大学 附属第二病院(現 足立医療センター) 外科
2001年-2007年 昭和大学 横浜市北部病院 消化器センター
2007年-2011年 ハーバード大学 医学部 放射線科
2011年-2014年 亀田メディカルセンター 消化器科・放射線科 部長
2014年-2015年 NTT東日本伊豆病院 健診センター 特任部長
2015年-2019年 国立がん研究センター 検診研究部 検診評価研究室長
2018年4月-現在 国立がん研究センター 中央病院 検診センター (併任)
2019年4月-2026年3月 福島県立医科大学 消化器内科学講座 特任教授
資格
消化器内視鏡認定医・専門医・指導医
消化器病専門医・指導医
消化器がん検診総合認定医・消化器がん検診指導医
外科認定医・認定登録医
胃腸科専門医
難病指定医
便通マネージメントドクター
アメリカ消化器内視鏡学会(American Society for Gastrointestinal Endoscopy) 国際会員
アメリカ消化器病学会(American College of Gastroenterology) 国際会員
医学博士(昭和大学):学位論文
Polyethylene glycol solution (PEG) plus contrast-medium vs. PEG alone preparation for CT colonography and conventional colonoscopy in preoperative colorectal cancer staging. Int J Colorectal Dis 2007; 22: 69-76.
学会役員やジャーナルの役職など
Honorary Editors-In-Chief (International Journal of Radiology), Editorial Board Member (World Journal of Gastroenterology, World Journal of Radiology, World Journal of Gastrointestinal Endoscopyなど7英文誌)
日本消化器内視鏡学会 関東支部評議員
消化管先進画像診断研究会(GAIA) 代表世話人
元 日本消化器がん検診学会 代議員
日本消化器がん検診学会 大腸CT検査技師認定委員会 副委員長
日本消化器がん検診学会 編集委員会委員
元 日本消化器がん検診学会 教育・研修委員会委員
元 日本消化器がん検診学会 編集委員会 用語集改訂小委員会委員
日本大腸検査学会 評議員
