メニュー

口臭

口臭とは

口臭とは、口腔内から発生する不快な臭いと定義されます。口臭はどのくらいの人が持っているか(有病率)については、自覚症状がある人もいれば自覚症状がない人もいるため、集計がなかなか難しいのが現状です。

ポーランドの大学生が自覚する口臭の有病率は24%であるという報告や、米国の歯科医が患者の口臭を評価した研究では41%に口臭を認めたと報告されています。多くの国から口臭の有病率について報告されていますが、多くの研究をまとめると口臭患者は4人に1人程度(有病率25%程度)と考えられています。

口臭の原因

ドライマウス:唾液の分泌が少なくなると、口のなかに残った食べかすを嫌気性菌が分解しやすくなりますし、菌自体を増加させます。

喫煙:タバコの煙が歯肉のプラークにいる微生物バランスを変化させるため、悪臭を産生する嫌気性菌を増加させます。 また、喫煙は唾液の分泌を低下させる作用もあるとされています。

舌苔:舌背につく舌苔は嫌気性菌の貯蔵庫です。舌苔は口臭の最も重要な原因となります。

口腔内口臭のその他の原因:露出した歯髄、高度な虫歯、傷口、矯正器具などがあります。これらは、食物やプラークが溜まる場所となってしまうからです。

口腔以外の疾患:耳鼻咽喉科疾患、呼吸器疾患や消化器疾患、あるいは糖尿病などが原因となることもあります。

口臭の種類

口臭は、生理的口臭、病的口臭、仮性口臭、口臭恐怖症などに分けられます。

生理的口臭とは、口臭の原因となる病気がなく、口腔内の食物残渣が細菌によって分解される過程によって悪臭が発生する場合や唾液が少ない起床直後や空腹時に発生する口臭をいいます。生理的口臭の発生源は、主に舌背の後ろの方とされます。

病的口臭とは、口腔内の病的口臭(口腔内の病気によるもの)と口腔外の病的口臭(鼻腔、副鼻腔、のど(喉頭)、呼吸器(気管、肺)、上部消化管(食道、胃、十二指腸)の病気によるもの)に分類されます。

仮性口臭とは、口臭がないのにもかかわらず、口臭があると勘違いをしてしまっていることをいいます。通常、カウンセリングや簡単なオーラルケアの指導で改善されます。

口臭恐怖症とは、口臭のある証拠がないにもかかわらず、病的口臭や仮性口臭を治療した後でも、患者様が自分自身に口臭があると頑なに信じ続ける状態を指します。

口臭と関係のある病気

口腔内の病気:口臭の90%は口腔内に原因があるとされています。とくに歯周病と口臭は直接関係があります。歯周病状態以外にも、治療されていないむし歯の病巣に食べかすや歯垢がたまり口臭の原因となります。

食道の病気:食道がんや食道アカラシアなど、食べ物の通過を妨げる病気は口臭の原因となります。

胃の病気:

1)ヘリコバクター・ピロリ菌感染症

ヘリコバクター・ピロリ菌はウレアーゼと呼ばれる酵素を産生しており、この酵素で胃粘液中の尿素をアンモニアと二酸化炭素に分解し、生じたアンモニアで局所的に胃液を中和することによって胃へ定着(感染)しています。胃酸を中和してしまうため、雑菌を増やすことにつながり匂いのもととなります。さらに、ピロリ菌感染によって引き起こされる萎縮性胃炎や胃潰瘍は胃の消化を悪くするため、食べ物が長時間胃の中に滞留することによって匂いの原因となります。

2)機能性ディスペプシア

胃の働きを調節する自律神経のバランスが崩れ、胃の運動機能異常、内臓の知覚過敏を来たしている病態です。胃の消化機能が低下しているため、食べたものが十二指腸に流れていかない、古い胃粘膜が残存する、十二指腸から胆汁が逆流してしまうため、匂いのもととなります。

3)胃がん

胃がんは胃の消化機能を低下させ、食べ物の通過自体も阻害してしまいます。そのために口臭の原因となりえます。

大腸の病気

1)大腸が

便がスムーズに通過しないため、便のにおいのもととなる成分が腸管壁を通して血中に溶け込むことから肺を経由して呼吸から発せられるために口臭の原因となります。

2)便秘

大腸がんと同様に、便の腸管内の滞留時間が長くなるために、口臭の原因となることがあります。

そのほか、肝臓の病気や糖尿病、肺などの呼吸器の病気も口臭の原因となります。

口臭の検査と治療

口臭の原因の多くは歯周病など口腔内の病気が関連しています。歯科を受診されて、口腔内の病気がないと言われた場合や治療を完了しても口臭が継続する場合には、消化器疾患や呼吸器疾患などがないか検査を行うことが大切です。

 ここでは消化器疾患の検査と治療をご紹介します。

1)ヘリコバクター・ピロリ菌感染症

胃症状などで上部内視鏡検査を行った際に、胃に萎縮性胃炎を認めた場合には、ヘリコバクター・ピロリ菌に感染している可能性があります。感染が疑われた場合には、下記の方法などで検査を行います。

尿素呼気試験:薬を飲んで呼気を調べる方法で、結果がすぐに分かり精度が高い検査法です。ピロリ菌の除菌判定にも用いられます。

血中抗体検査:ピロリ菌感染のスクリーニングに用いられます。ただし抗体検査は現在の感染だけでなく過去の感染(ピロリ菌除菌後も含む)でも陽性になることがあります。

便中抗原検査:便中H.pylori抗原を測定する検査法です。尿素呼気試験とならび精度の高い検査法です。

また、健診や人間ドックで胃がんハイリスク検診・ABC検診が行われることもありますこれは胃炎の程度を判定する血清ペプシノゲン値と血清ピロリ菌抗体の組み合わせにより胃がん発症の危険度を判定するABC検診が企業の健診や自治体の胃がん検診に取り入れられています。

ピロリ菌の除菌治療には、胃酸の分泌を抑制するお薬と2種類の抗生物質の3つのお薬が用いられます。この三種類のお薬を一週間服用することで、約8割の方は除菌に成功すると報告されています

2)機能性ディスペプシア

上部内視鏡検査(胃カメラ)で胃の器質的疾患がないことを確認する必要があります。近年、機能性ディスペプシアに効果のある処方薬が開発されています。

3)胃がん

上部内視鏡検査(胃カメラ)が有用です。胃がんが疑われた場合には生検とよばれる細胞の検査を行って確定診断をおこないます。ただし、早期胃がんで不用意に生検をしてしまうとその後の内視鏡治療が困難となる場合もあります。専門医・指導医による正確な対応が必要です。

4)大腸がん・大腸ポリープ

大腸内視鏡検査(大腸カメラ)が有用です。治療が可能な大腸ポリープは診断のみならず、同日に治療まで行います。内視鏡治療が困難な大腸がんの場合には生検とよばれる細胞の検査を行って確定診断をおこないます。

5)便秘

大腸内視鏡検査(大腸カメラ)で大腸に大腸がん大腸ポリープなどの器質的疾患がないことを確認することが大切です。

6)肝硬変などの肝疾患

採血や腹部超音波検査(腹部エコー)などで診断を行います。

当院で行う口臭診察

歯科で口腔内の疾患がないこと、あるいは口腔内の疾患の治療を完了しても口臭がある方は消化器疾患が口臭の原因となっている場合があります。

口臭以外の症状がないか、持病がないか、消化器疾患のリスクがないかなど丁寧に問診や触診などを行ったうえで、患者さまにご説明のうえ必要な検査をすすめてまいります。口臭の原因となる消化器疾患の診察のために、採血、上部内視鏡検査(胃カメラ)、大腸内視鏡検査(大腸カメラ)、または腹部超音波検査(腹部エコー)といった検査などから必要に応じた検査をご提案いたします。口臭で悩まれている方はお気軽にご相談ください。

▲ ページのトップに戻る

Close

HOME