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お腹がゴロゴロ・グルグル鳴る

お腹が鳴る原因と考えられること

お腹が鳴る音は医学的に「腹鳴(ふくめい)」と呼ばれ、多くの場合は生理的な現象です。腹鳴は腸管内にたまったガスや液体が、蠕動運動(ぜんどううんどう:胃腸の筋肉の収縮運動)で移動するときに生じる音です。特に腸内の狭い部分をガスが通過する際には音が大きく聞こえますが、基本的には健康な人でもよくみられる正常な反応であり、大きな音がしても必ずしも異常とは限りません。

腹鳴の生理的メカニズム

腹鳴は、空腹時や消化中など胃腸が活発に動いているときに起こりやすいです。まず、空腹時収縮(空腹期収縮)と呼ばれる仕組みがあります。空腹になると胃腸は次の食事に備えて残った食べ物のカスや胃液を掃除しようと強い収縮を起こします。このとき腸管内のガスや液体が激しく動いて音が鳴ります(空腹期収縮は最後に食事をしてから6~8時間ほどで起こることが多いです)。また、蠕動運動自体も腹鳴の大きな要因です。食べ物が入っていない空の胃腸でも、1分間に10回以上の間隔で強い収縮運動が繰り返され、残ったガスが揺れることで「グーッ」という音が発生します。さらに、胃腸に含まれるガス(空気の嚥下や食物の発酵で生じたもの)が蠕動運動で移動する音も腹鳴の原因です。これらすべてが重なり合って腹鳴が起こります。

腹鳴が起こりやすい状況

腹鳴は次のような状況で起こりやすく、多くは心配いりません。

空腹時

空腹になると胃が強く収縮し、胃腸内のガスや水分が移動して音が鳴ります。小まめに消化の良い軽食をとることで空腹感を緩和し、腹鳴を抑えられることがあります。

食後

食後は胃腸が活発に働いて食物を消化しようとするため、内容物とともにガスが動いて音が出やすくなります。とくに炭酸飲料やパン、麺類など胃に空気を取り込みやすい食事は腹鳴を誘発しやすい傾向があります。

乳製品摂取

牛乳やヨーグルトなどの乳製品では、乳糖不耐症(ラクターゼ酵素不足)が原因で消化不良を起こし、腸内で発酵してガスを発生させることがあります。発生したガスが排出される際にも大きな音がすることがあります。

刺激物やアルコール

冷たい飲み物・唐辛子・アルコール・カフェインなどは腸を刺激し、蠕動運動を活発にします。とくにアルコールは腸内に過剰な刺激を与えてガスが増える傾向があるため、腹鳴が増えることがあります。

過度なストレスや緊張

ストレスは自律神経を乱し、胃腸の働きを不安定にします。過度の緊張や不安は腸管の収縮異常を引き起こし、ガスがたまりやすくなって腹鳴が増える原因になります。また、ストレスは過敏性腸症候群(IBS)の発症要因にもなるため、腸の症状全般に影響します。

腸内発酵(発酵性食品の過剰摂取)

発酵食品や食物繊維、豆類、甘味料などには腸内で発酵して大量のガスを生み出すものがあります。こうした FODMAP(発酵性のオリゴ糖・二糖類・単糖類・ポリオール)を過剰に摂取すると、腸内でガスが発生し腹鳴や腹部膨満の原因になることがあります。

運動中・運動後

適度な運動でも腸管の蠕動運動は刺激されます。激しい運動や身体の上下動によって腸内のガスが移動しやすくなり、腹鳴が増えることがあります。これは異常ではなく、体を動かした際によくみられる現象です。

上記のような生理的な状況で起こる腹鳴は通常問題ありませんが、いつもと違う感じや他の症状を伴う場合は注意が必要です。

注意したい症状(消化器疾患の可能性)

腹鳴そのものは自然な現象ですが、次のような症状を伴う場合は消化器疾患が隠れている恐れがあります。早めの受診をおすすめします。

下痢・便秘・腹痛を伴う場合

腹鳴と同時に下痢や便秘、腹痛が続く場合は過敏性腸症候群(IBS)の可能性があります。IBSではストレスや生活習慣の乱れにより腸の運動が過剰または低下し、ガスがたまって腹鳴や痛みを生じやすくなります。また、腸炎や腸閉塞、食物不耐症など、他の腸疾患が関係している場合もあるため、症状がひどい場合は専門医の診察が必要です。

吐き気・嘔吐を伴う場合

吐き気や嘔吐の症状を伴う腹鳴は、ウイルス性・細菌性腸炎や急性腸閉塞などを疑います。嘔吐が続くと脱水や電解質異常を起こす危険があるため、速やかに受診してください。

血便や黒い便、体重減少

血便(便に血が混ざる)や黒色便、著しい体重減少を伴う場合は、胃潰瘍や大腸がん、ポリープなど重大な疾患の可能性があります。腹鳴に加えてこのような危険信号があるときは、一刻も早い精密検査が必要です。とくに40歳以上の方や家族歴がある場合は、胃カメラ・大腸カメラ検査を検討しましょう。

おならの臭いが強い/腹部膨満感が続く場合

通常よりおならの臭いがきつい、腹部の張りが強いと感じる場合は、腸内細菌バランス(腸内フローラ)の乱れが考えられます。悪玉菌が増えるとガスが過剰に発生し、それが腹鳴や不快感の原因になります。腸内環境を整える食事や生活改善が大切です。

過度なストレス

前述のように、強いストレスが続くと自律神経が乱れて胃腸の働きにも影響します。腹鳴が気になる方は、ストレスの軽減(十分な休息・リラックス習慣)にも心がけましょう。過敏性腸症候群の診断がついた方には消化管運動調質薬や漢方薬を内服することで改善が期待できます。

これらの症状がある場合、特に長期間続く場合や症状が増悪する場合は、早めに消化器病専門医の診察を受け、必要に応じて内視鏡検査や腹部超音波(エコー)検査などの精密検査を受けることをおすすめします。

必要な検査とその役割

消化器系の異常が疑われるときは、次のような検査が役立ちます。

胃カメラ(上部消化管内視鏡)</h4

食道・胃・十二指腸の粘膜を直接観察し、胃炎・潰瘍・ピロリ菌感染・胃がんなどを診断します。咽頭から細い管状の内視鏡を挿入し、リアルタイムで病変の有無を確認できます。鎮静剤で眠った状態で行う「無痛胃カメラ」や、鼻から挿入する「経鼻内視鏡」など、患者さまの負担を軽減する工夫も可能です。<\p>

大腸カメラ(下部消化管内視鏡)

肛門から挿入する内視鏡で大腸全域の粘膜を観察し、炎症性腸疾患・大腸ポリープ・大腸がんなどを発見します。粘膜表面を詳細に観察できるため、早期がんやポリープの取り残し防止に優れています。当院では炭酸ガス送気装置やハイビジョン拡大内視鏡などを用い、検査中・検査後の痛みや膨満感を軽減するとともに、微細病変の検出に努めています。

腹部超音波検査(腹部エコー)

超音波を体表面から腹部に当て、肝臓・胆嚢・胆管・膵臓・腎臓などの内臓を画像化する検査です。放射線を使わず痛みもないので身体への負担が少なく、安全に受けられるメリットがあります。腹部エコーでは、脂肪肝・胆石・膵嚢胞・腎結石・各種腫瘍など多岐にわたる病変を発見できます。健康診断で肝機能の異常を指摘された方や、腹痛・腹部膨満感を感じる場合に有用です。

これらの検査は、それぞれ調べられる範囲や目的が異なります。胃カメラ・大腸カメラでは消化管内面の病変を直接発見・生検できるため、消化器系疾患の確定診断に必須です。腹部エコーは消化器以外の臓器も同時に観察できるため、幅広い腹部病変のスクリーニング検査として用いられます。症状や診察所見に応じて適切な検査を組み合わせることで、早期発見・早期治療につながります。

当院の診療体制

永田胃腸・消化器医院では、地域の消化器専門クリニックとして、以下のような診療体制で患者さまをサポートしています

高度な専門技術

消化器内視鏡専門医・指導医の院長が、質の高い胃カメラ・大腸カメラ検査を行います。無痛鎮静下検査や経鼻内視鏡検査、炭酸ガス送気装置の導入など、患者さまの負担を軽減する最新の技術も積極的に活用しています。検査にはNBI(狭帯域光観察)搭載のハイビジョン内視鏡を使用し、微細病変の早期発見に努めています。

日帰り治療への対応

大腸ポリープ切除など必要な治療はできるだけ外来で日帰り施行しています。入院の手間を軽減し、患者さまの生活負担を少なくすることを心がけています。

地域密着と安心感

地元・袋井市はもちろん、掛川市・菊川市・磐田市・森町・浜松市・御前崎市など、静岡西部の広い範囲から多くの患者さまにご来院いただいております。袋井駅から車で約5分のアクセスで、駐車場も完備しています。

丁寧なコミュニケーション

検査や治療に不安をお持ちの方には、わかりやすい説明と丁寧なヒアリングを徹底しています。当院は学会活動や研究発表にも積極的で、常に最新の知見にもとづいた診療を心がけています。

以上のように当院では、お腹の症状で不安を感じる方に対し、専門医による消化器診療と最適な検査・治療を提供しています。腹鳴やそれに伴う不調でお悩みの方は、どうぞお気軽にご相談ください。専門スタッフが症状を丁寧に伺い、安心して受けられる内視鏡検査をご案内いたします。

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