便秘症
便秘は「数日出ない」だけでなく、「便が硬い」「強くいきまないと出ない」「出ても残っている感じがする」「お腹が張る」など、日常生活に支障をきたす症状です。
市販薬で一時的に改善しても、便秘を繰り返す方、急に便通が変わった方、血便・体重減少・腹痛を伴う方では、大腸がんや腸の狭窄、腸閉塞、炎症性腸疾患などが隠れていないか確認が必要です。
永田胃腸・消化器医院では、問診・診察・腹部レントゲン・採血・大腸カメラ検査などを組み合わせ、便秘の原因を確認したうえで、生活習慣の見直しから薬物治療まで一人ひとりに合わせた治療を行います。
便秘とは
便秘とは本来体外に排出すべき糞便を十分量かつ快適に排出できない状態をいいます。単に排便回数が少ないことだけではなく、「便が硬い」「強くいきまないと出ない」「出てもすっきりしない」「お腹が張る」など、排便に関するつらさが続く状態をいいます。一般的には、排便回数が週3回未満の場合に便秘とされることがありますが、排便習慣には個人差があるため、回数だけで判断するものではありません。排便回数が少なくとも身体的症状が伴わなければ必ずしも便秘症にはなりません。
このような便秘は早めにご相談ください
次のような症状がある場合は、単なる便秘ではなく、大腸がん、大腸ポリープ、腸の狭窄、腸閉塞、炎症性腸疾患などが隠れていることがあります。早めの受診をおすすめします。
- 急に便秘になった、便通のリズムが変わった
- 血便がある、便に血が混じる
- 便が細くなった
- 原因不明の体重減少がある
- 貧血を指摘された
- 強い腹痛、吐き気、嘔吐、お腹の張りがある
- 大腸がん・大腸ポリープの家族歴がある
- 便潜血検査で陽性を指摘された
特に、これまで便秘ではなかった方が急に便秘になった場合や、血便・体重減少・貧血を伴う場合は、大腸カメラ検査による確認が重要です。
便秘の主な原因
便秘の原因は一つではありません。食事や水分不足だけでなく、腸の動き、排便時の筋肉の使い方、薬の影響、病気による腸の狭窄など、複数の要因が関係します。
1. 生活習慣による便秘
食物繊維不足、水分不足、運動不足、朝食を抜く習慣、便意を我慢する習慣などが関係します。
2. 腸の動きが低下する便秘
腸の動きが弱く、便が腸内に長くとどまることで便が硬くなります。高齢の方、活動量が少ない方にみられやすい傾向があります。
3. 便を出す力・排便の協調運動の問題
便意はあるのに出しにくい、強くいきまないと出ない、残便感が強い場合は、直腸や肛門周囲の働きが関係していることがあります。
4. 薬による便秘
痛み止め、抗うつ薬、抗コリン薬、鉄剤、カルシウム拮抗薬、一部の胃薬などで便秘が起こることがあります。
5. 病気が隠れている便秘
大腸がん、大腸ポリープ、腸閉塞、甲状腺機能低下症、糖尿病、パーキンソン病などが原因となることがあります。
便秘に必要な検査
便秘の診療では、まず問診で「いつから便秘があるか」「便の硬さ」「排便回数」「残便感」「腹痛や血便の有無」「服用中の薬」「これまでの大腸検査歴」などを確認します。
必要に応じて、腹部レントゲンで便やガスのたまり具合を確認したり、採血で貧血・炎症・甲状腺機能などを調べたりします。
また、血便、便潜血陽性、急な便通変化、体重減少、貧血、便が細くなったなどの症状がある場合には、大腸カメラ検査で大腸がん・大腸ポリープ・炎症・狭窄の有無を確認することが重要です。
大腸がん死亡抑制に対する大腸カメラ(全大腸内視鏡検査)の有用性は、2012年にアメリカのNational Polyp Studyの長期報告によって証明されています。大腸カメラ検査は、症状のない大腸がんを発見し早期の段階で治療を開始できるだけでなく、前がん病変である腺腫(adenoma)を発見し切除することができます。このため、大腸カメラは検査大腸がんの発生や死亡を直接的に抑制できる効果があるのです。しかも、大腸カメラ検査は、大腸がんの検査法として最も感度と特異度が高い検査法です。
便秘症の治療
便秘症の治療は、原因や症状のタイプに合わせて行います。単に下剤を増やすのではなく、「便をやわらかくする」「腸の動きを整える」「便意を感じやすくする」「排便しやすい生活リズムをつくる」ことを組み合わせて治療します。
生活習慣の見直し
朝食をとる、便意を我慢しない、こまめに水分をとる、無理のない範囲で体を動かすことが基本です。
食事療法
食物繊維を急に増やすと、かえってお腹の張りが強くなることがあります。便の硬さや腹部膨満感を見ながら、キウイ、豆類、海藻、野菜、全粒穀物などを少しずつ取り入れます。
薬物治療
便をやわらかくする薬、腸の水分分泌を促す薬、腸の動きを整える薬、胆汁酸の働きを利用する薬などがあります。刺激性下剤は有効な場合もありますが、漫然と長期間使うのではなく、症状や便の状態に合わせて調整することが大切です。
大切なこと
便秘薬は「毎日出すために強くする」のではなく、「苦痛なく、すっきり出せる状態を安定させる」ことを目標に調整します。当院では、患者さんの便の状態や生活リズムに合わせて治療を提案します。
当院の便秘患者様への対応
永田胃腸・消化器医院では便秘症状に悩む方の治療に取り組んでいます。
便秘は軽く見られがちですが、便が腸内にたまることで、お腹の張り、腹痛、食欲低下、吐き気、残便感などを起こし、生活の質を大きく下げることがあります。
このような症状がある方は注意が必要です。
●便を出しにくい。
●便が出た後もすっきりせず、便が残っている気がする。
●おならの臭いが気になる。
●痩せているのにおなかは出てる。
●お腹が張っている。
●慢性的な腹痛がある。
便秘に伴ってお腹の張り、食欲低下、体調不良を感じる方もいます。肌荒れなどを気にされる方もいますが、症状が続く場合は便秘以外の原因も含めて確認することが大切です。
当院の院長は便通マネージメントドクター(日本消化管学会認定)です。便通コントロールに精通しています。便秘症状でお悩みの方はご遠慮なくご予約・ご来院ください。
【最新ガイドライン】便秘改善の近道は「キウイ」と「日本流の全粒穀物」
「野菜を食べているのに便秘が治らない」…そんなお悩みはありませんか? 2025年に英国栄養士会(BDA)から発表された最新の食事ガイドラインでは、特定の食材が慢性便秘に非常に有効であると示されました。この記事では、日本の食生活で無理なく取り入れられる「便秘解消の新常識」を解説します。
1. 1日2個の「キウイフルーツ」が腸を動かす
今回のガイドラインで最も推奨されている食材の一つがキウイフルーツです。
なぜ良い?: 食物繊維だけでなく、タンパク質分解酵素(アクチニジン)が消化を助け、腸の動きをスムーズにします。
目安: 1日2個。朝食やデザートに加えるだけで、排便回数の改善が期待できます。
2. 全粒穀物を「賢く・手軽に」取り入れる
精製された白いパンや白米を、食物繊維が豊富な「茶色の穀物」に置き換えるのが基本です。
玄米・ライ麦パン: 白米に玄米を混ぜたり、いつもの食パンをライ麦パンに変えることから始めましょう。
フルグラの活用: 「玄米やライ麦はハードルが高い」という方におすすめなのが、市販のフルーツグラノーラ(フルグラなど)です。オーツ麦やライ麦、玄米が主原料で、1食分でバナナ約4本分の食物繊維が摂れるものもあります。忙しい朝の「手軽な腸活」として非常に優秀です。
3. 「豆類」をプラス一品
納豆、枝豆、豆腐、煮豆などの豆類は、日本人が摂取しやすい良質な食物繊維源です。
1日1回は納豆を食べる、サラダにミックスビーンズを足すなど、意識的に「豆」をプラスしましょう。
4. 大切なのは「たっぷりの水分」
食物繊維を増やした時、水分が足りないと便が硬くなってしまいます。
目安: 1日1.5〜2リットルの水分(水や麦茶など)を、こまめに摂るようにしましょう。
便秘は生活の質(QOL)を大きく下げてしまいます。「食事で改善したいけれど、何から始めればいいか分からない」という方は、ぜひ当院へご相談ください。
当院では地元の袋井市はもちろん、静岡県西部地方の掛川市、菊川市、磐田市、森町、浜松市、御前崎市などから、多くの患者様に大腸カメラ検査の受診目的でご来院して頂いております。ご遠方の方でも安心して大腸カメラ検査を受けて頂けるために、検査の開始時間を午前・午後の幅広い時間帯で柔軟に対応しています。大腸カメラ検査をご希望の方はお気軽にご相談下さい。
当院で便秘症をご相談いただくメリット
当院の院長は、日本消化管学会認定の便通マネージメントドクターです。便秘を「薬を出して終わり」にするのではなく、便の硬さ、排便回数、残便感、お腹の張り、服用中の薬、生活リズム、大腸検査の必要性まで含めて総合的に判断します。
また、当院は消化器内科・内視鏡内科として、大腸がんや大腸ポリープなどの器質的疾患が疑われる場合には、大腸カメラ検査による精密検査にも対応しています。便秘でお悩みの方、市販薬を続けていて不安な方、急に便通が変わった方はご相談ください。
便秘症についてよくある質問
Q1. 毎日便が出ないと便秘ですか?
毎日排便がなくても、便が自然に出て、強いいきみや腹痛、残便感がなければ必ずしも便秘症とは限りません。便秘症では、排便回数だけでなく、便の硬さ、出しにくさ、残便感、お腹の張りなどを総合的に判断します。
Q2. 何日出なければ受診した方がよいですか?
排便が数日ないだけでなく、お腹の張り、腹痛、吐き気、食欲低下、強い残便感がある場合はご相談ください。特に、急に便秘になった場合、血便、体重減少、貧血、便が細くなったなどを伴う場合は早めの受診をおすすめします。
Q3. 便秘で大腸カメラ検査が必要になることはありますか?
あります。便秘だけで必ず大腸カメラ検査が必要というわけではありませんが、血便、便潜血陽性、急な便通変化、体重減少、貧血、便が細くなった、大腸がんの家族歴がある場合などは、大腸がんや大腸ポリープ、腸の狭窄が隠れていないか確認するために大腸カメラを検討します。
Q4. 市販の便秘薬を飲み続けても大丈夫ですか?
一時的な使用で改善する場合もありますが、便秘薬を長期間自己判断で続けている場合は注意が必要です。薬の種類によっては、腹痛や下痢を起こしたり、症状に合っていなかったりすることがあります。便秘を繰り返す場合は、原因を確認したうえで薬を調整することが大切です。
Q5. 酸化マグネシウムは安全ですか?
酸化マグネシウムは便秘症でよく使われる薬ですが、腎機能が低下している方や高齢の方では高マグネシウム血症に注意が必要です。定期的な採血が必要になることもあります。自己判断で増量せず、医師の指示に従って使用しましょう。
Q6. 食物繊維を増やせば便秘は治りますか?
食物繊維は便秘改善に役立つことがありますが、すべての便秘に有効とは限りません。急に増やすと、お腹の張りやガスが強くなることもあります。便が硬いタイプ、残便感が強いタイプ、お腹の張りが強いタイプなどで対応が異なるため、症状に合わせた調整が必要です。
Q7. キウイは便秘に良いですか?
キウイフルーツは、慢性便秘に対する食事療法として有用性が報告されています。無理のない範囲で、1日1〜2個程度から試してみるのもよい方法です。ただし、糖尿病や腎臓病、食物アレルギーがある方は、主治医に相談しながら取り入れてください。
Q8. 便秘と過敏性腸症候群は違いますか?
便秘が続く病気の中には、便秘型過敏性腸症候群があります。便秘に加えて腹痛があり、排便によって痛みが軽くなる、ストレスで症状が変動する、といった特徴がある場合に疑われます。大腸がんや炎症性腸疾患などを除外したうえで判断します。
Q9. 便秘でお腹が張るのはなぜですか?
便やガスが腸内にたまると、お腹の張りや腹部膨満感を感じることがあります。ただし、強い腹痛、吐き気、嘔吐、ガスも便も出ない状態がある場合は、腸閉塞などの可能性もあるため早めの受診が必要です。
Q10. 便秘薬は一生飲み続けることになりますか?
便秘の原因によります。生活習慣の見直しや食事の調整で薬を減らせる方もいます。一方で、加齢、持病、服用薬の影響などにより、継続的な治療が必要な方もいます。大切なのは、自己判断で薬を増減するのではなく、便の状態や症状に合わせて適切に調整することです。
参考文献
日本消化管学会(協力学会:日本消化器病学会、日本消化器内視鏡学会、日本大腸肛門病学会) 便通異常症診療ガイドライン2023 慢性便秘症
米国消化器病学会(AGA, ACG) 慢性便秘に関するガイドライン(2023)
ASCRS Clinical Practice Guidelines for the Evaluation and Management of Chronic Constipation, 2024
British Dietetic Association Guidelines for Chronic Constipation in Adults
この記事の執筆者
理事長・院長 永田 浩一
略歴
1996年 国立群馬大学医学部医学科卒業
1996年-2001年 東京女子医科大学 附属第二病院(現 足立医療センター) 外科
2001年-2007年 昭和大学 横浜市北部病院 消化器センター
2007年-2011年 ハーバード大学 医学部 放射線科
2011年-2014年 亀田メディカルセンター 消化器科・放射線科 部長
2014年-2015年 NTT東日本伊豆病院 健診センター 特任部長
2015年-2019年 国立がん研究センター 検診研究部 検診評価研究室長
2018年4月-現在 国立がん研究センター 中央病院 検診センター (併任)
2019年4月-2026年3月 福島県立医科大学 消化器内科学講座 特任教授
資格
消化器内視鏡認定医・専門医・指導医
消化器病専門医・指導医
消化器がん検診総合認定医・消化器がん検診指導医
外科認定医・認定登録医
胃腸科専門医
難病指定医
便通マネージメントドクター
アメリカ消化器内視鏡学会(American Society for Gastrointestinal Endoscopy) 国際会員
アメリカ消化器病学会(American College of Gastroenterology) 国際会員
医学博士(昭和大学):学位論文
Polyethylene glycol solution (PEG) plus contrast-medium vs. PEG alone preparation for CT colonography and conventional colonoscopy in preoperative colorectal cancer staging. Int J Colorectal Dis 2007; 22: 69-76.
学会役員やジャーナルの役職など
Honorary Editors-In-Chief (International Journal of Radiology), Editorial Board Member (World Journal of Gastroenterology, World Journal of Radiology, World Journal of Gastrointestinal Endoscopyなど7英文誌)
日本消化器内視鏡学会 関東支部評議員
消化管先進画像診断研究会(GAIA) 代表世話人
元 日本消化器がん検診学会 代議員
日本消化器がん検診学会 大腸CT検査技師認定委員会 副委員長
日本消化器がん検診学会 教育・研修委員会委員
日本消化器がん検診学会 編集委員会 用語集改訂小委員会委員
日本大腸検査学会 評議員
