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脂質異常症と言われた方へ|悪玉コレステロール・中性脂肪を放置しないために

健診で「悪玉コレステロール・中性脂肪が高い」と言われた方へ

健診や人間ドックで、次のように言われたことはありませんか。

「悪玉コレステロールが高い」
「中性脂肪が高い」
「HDLコレステロールが低い」
「脂質異常症です」
「食事と運動に気をつけてください」
「一度、医療機関で相談してください」

脂質異常症は、自覚症状がほとんどありません。そのため、健診で指摘されても「まだ大丈夫」「症状がないから様子を見よう」と考えがちです。

しかし、脂質異常症を放置すると、動脈硬化が進み、脳梗塞や心筋梗塞のリスクにつながることがあります。また、脂質異常症は肝臓とも深く関係しており、脂肪肝や代謝機能障害関連脂肪性肝疾患、いわゆるMASLDを合併している方も少なくありません。

永田胃腸・消化器医院は消化器・肝臓の専門医院ですが、実は脂質異常症で受診される患者様が多いクリニックです。なぜなら、脂質の異常は、心臓や脳だけでなく、肝臓の健康にも深く関わっているからです。

脂質異常症とは

脂質異常症とは、血液中の脂質のバランスが崩れている状態です。主に次のような異常があります。

・LDLコレステロールが高い
・中性脂肪が高い
・HDLコレステロールが低い
・non-HDLコレステロールが高い

LDLコレステロールは、一般に「悪玉コレステロール」と呼ばれます。血液中に増えすぎると、血管の壁に入り込み、動脈硬化を進める原因になります。

中性脂肪は、食事、飲酒、肥満、糖尿病、運動不足などと関係しやすい脂質です。中性脂肪が高い方では、脂肪肝を合併していることもあります。

HDLコレステロールは、一般に「善玉コレステロール」と呼ばれます。低すぎる場合は、動脈硬化リスクの一つとして注意が必要です。

脂質異常症を放置してはいけない理由

脂質異常症の怖いところは、症状がないまま進むことです。

血管の中で動脈硬化が進んでも、初期には痛みや違和感はありません。しかし、長い時間をかけて血管の壁が厚くなり、プラークができ、血管が狭くなると、将来的に次のような病気につながることがあります。

・脳梗塞
・一過性脳虚血発作
・狭心症
・心筋梗塞
・閉塞性動脈硬化症
・慢性腎臓病の進行

脂質異常症は、「健診で数字が少し悪いだけ」と軽く考えず、年齢、血圧、血糖、喫煙歴、家族歴、肝臓の状態などを含めて、全身のリスクとして考えることが大切です。

脂質異常症と肝臓の関係

脂質異常症は、血管だけの問題ではありません。肝臓とも深く関係しています。

肝臓は、栄養の代謝、脂質の合成・分解、胆汁の産生などを行う重要な臓器です。食べ過ぎ、運動不足、肥満、糖尿病、中性脂肪高値などが重なると、肝臓に脂肪がたまり、脂肪肝になることがあります。

脂肪肝の多くはすぐに重い病気へ進むわけではありませんが、一部の方では炎症や線維化が進み、肝硬変や肝がんのリスクにつながることがあります。

そのため、当院では脂質異常症の患者様に対して、必要に応じて次のような評価を行います。

・血液検査で肝機能、脂質、血糖、HbA1cを確認
・腹部エコーで脂肪肝、胆のう、膵臓などを確認
・肝臓エラストグラフィで肝臓の硬さを評価
・FIB-4 indexなどを用いて肝線維化リスクを確認
・頸動脈エコーで動脈硬化を評価

脂質異常症は、血管と肝臓の両方から考えることが重要です。

このような方はご相談ください

次のような方は、一度ご相談ください。

・健診でLDLコレステロールが高いと言われた
・中性脂肪が高いと言われた
・HDLコレステロールが低いと言われた
・脂質異常症を指摘されたが、治療を受けていない
・薬を飲むべきか迷っている
・食事や運動で改善できるか知りたい
・脂肪肝も指摘されている
・肝機能異常もある
・糖尿病、高血圧、肥満がある
・家族に心筋梗塞や脳梗塞の方がいる
・若い頃からコレステロールが高い
・頸動脈エコーで血管の状態を確認したい
・脂肪肝や肝機能異常も指摘されており、肝臓の状態も相談したい

特に、LDLコレステロールが非常に高い方、若い頃から高い方、家族に若年で心筋梗塞や狭心症を起こした方がいる場合は、家族性高コレステロール血症の可能性も考える必要があります。

当院で行う脂質異常症の評価

1. 健診結果・生活習慣・家族歴の確認

まず、健診結果を確認します。LDLコレステロール、中性脂肪、HDLコレステロールだけでなく、血圧、血糖、HbA1c、肝機能、腎機能、尿酸、体重変化なども確認します。

また、食事、飲酒、運動、喫煙、睡眠、内服薬、サプリメント、家族歴も重要です。

2. 血液検査

必要に応じて、脂質、肝機能、血糖、HbA1c、腎機能、甲状腺機能などを確認します。脂質異常症の原因や、合併している生活習慣病を評価します。

3. 腹部エコー

中性脂肪が高い方、肝機能異常がある方、肥満や糖尿病がある方では、脂肪肝を合併していることがあります。

腹部エコーでは、肝臓、胆のう、膵臓、腎臓、腹部大動脈などを観察します。脂肪肝の有無だけでなく、胆石、胆のうポリープ、肝腫瘤、膵のう胞などが見つかることもあります。

4. 肝臓エラストグラフィ

脂質異常症そのものを評価する目的で、肝臓エラストグラフィを行うわけではありません。

一方で、中性脂肪が高い方、肥満・糖尿病・高血圧を伴う方、健診で脂肪肝や肝機能異常を指摘されている方では、脂肪肝を合併していることがあります。

まずは、健診結果、採血、腹部エコーなどをもとに、肝臓の状態を確認します。そのうえで、NASH/MASHが疑われる場合、肝線維化の進行が疑われる場合、肝硬変の可能性を評価する必要がある場合など、医学的に必要と判断される場合に限り、肝臓エラストグラフィを検討します。

肝臓エラストグラフィは、超音波を用いて肝臓の硬さを評価する検査です。脂質異常症の方全員に行う検査ではなく、肝臓の線維化評価が必要と考えられる場合に、診察のうえで適応を判断します。

5. 頸動脈エコー

脂質異常症では、血管の状態を確認することも大切です。

頸動脈エコーでは、首の血管を観察し、血管の壁の厚さ、プラーク、狭窄、血流を確認します。動脈硬化の程度を把握し、今後の治療方針を考える材料になります。

当院の脂質異常症診療の特徴

1. 血管と肝臓を同時に考える

脂質異常症は、脳梗塞や心筋梗塞のリスクとして重要ですが、同時に脂肪肝や肝機能異常とも関係します。

当院では、脂質異常症を単なる「コレステロールの数字」としてではなく、血管と肝臓の両方から評価します。

2. 血管評価と、必要に応じた肝臓評価に対応

当院では、脂質異常症の患者様に対して、健診結果、採血、生活習慣、家族歴などを確認し、必要に応じて頸動脈エコーによる動脈硬化評価を行います。

また、中性脂肪高値、肥満、糖尿病、肝機能異常、脂肪肝の指摘がある方では、腹部エコーで肝臓や胆のう・膵臓などの状態を確認することがあります。

肝臓エラストグラフィは、脂質異常症そのものの評価として行う検査ではありません。脂肪肝に加えてNASH/MASHや肝線維化が疑われる場合、肝硬変の可能性を評価する必要がある場合など、医学的に必要と判断される場合に適応を検討します。

3. 高性能超音波診断装置を導入

当院では、富士フイルム製高性能超音波診断装置「ARIETTA 650 DeepInsight」を導入しています。

AI技術を用いて開発された画像処理技術により、肝臓、腹部臓器、血管をより見やすく描出することが期待されます。検査は認定超音波検査士が担当し、医師が結果を確認します。

4. 必要に応じて専門医療機関と連携

高度な動脈硬化、強い頸動脈狭窄、心疾患・脳血管疾患が疑われる場合、より専門的な評価が必要な場合には、連携医療機関へ紹介します。

治療は「薬を飲むかどうか」だけではありません

脂質異常症の診療では、薬を飲むかどうかに注目が集まりがちです。しかし、本当に大切なのは、将来の脳梗塞・心筋梗塞・脂肪肝進行を防ぐために、現在のリスクを正しく把握することです。

治療方針は、次のような情報をもとに総合的に判断します。

・LDLコレステロールの値
・中性脂肪の値
・HDLコレステロールの値
・年齢、性別
・高血圧、糖尿病、喫煙の有無
・家族歴
・頸動脈エコーの所見
・脂肪肝、肝機能異常の有無
・過去の脳梗塞、狭心症、心筋梗塞の有無

食事、運動、体重管理、禁煙、節酒は基本です。必要な場合には、脂質を下げる薬を使います。薬を始めた後も、採血や画像検査で効果と安全性を確認しながら治療を続けます。

生活習慣で意識したいこと

脂質異常症の改善には、毎日の生活習慣が大切です。

・食べ過ぎを避ける
・甘い飲み物、菓子、夜食を控える
・揚げ物や脂身の多い肉を控えめにする
・魚、大豆製品、野菜、海藻を取り入れる
・アルコール量を見直す
・定期的に体を動かす
・体重を少しずつ減らす
・禁煙する
・睡眠不足を避ける

特に、中性脂肪が高い方や脂肪肝がある方では、体重を少し減らすだけでも肝機能や中性脂肪が改善することがあります。無理な食事制限ではなく、続けられる改善を一緒に考えていきます。

よくある質問

Q. 脂質異常症は症状がなければ放置してもよいですか?

おすすめできません。脂質異常症は症状がないまま動脈硬化を進めることがあります。健診で指摘された場合は、一度医療機関でリスクを確認することが大切です。

Q. 悪玉コレステロールが高いと必ず薬が必要ですか?

必ず薬が必要とは限りません。年齢、血圧、糖尿病、喫煙、家族歴、動脈硬化の有無、過去の病気などを総合的に判断します。頸動脈エコーや採血結果が治療方針の参考になります。

Q. 中性脂肪が高いだけでも受診した方がよいですか?

中性脂肪高値は、飲酒、食事、肥満、糖尿病、脂肪肝と関係することがあります。特に肝機能異常や脂肪肝を伴う場合は、腹部エコーや肝臓エラストグラフィによる評価をおすすめします。

Q. 脂質異常症と脂肪肝は関係ありますか?

関係があります。脂質異常症、肥満、糖尿病、高血圧は脂肪肝/MASLDと関連します。脂肪肝がある方では、肝臓の硬さや肝機能を確認することが大切です。

Q. 脂質異常症で肝臓エラストグラフィを受けることはできますか?

脂質異常症そのものを評価する目的で、肝臓エラストグラフィを行うわけではありません。

ただし、健診で脂肪肝や肝機能異常を指摘されている方、NASH/MASHや肝線維化が疑われる方、肝硬変の可能性を評価する必要がある方では、診察・採血・腹部エコーの結果を踏まえて、医学的に必要と判断される場合に肝臓エラストグラフィを検討します。

Q. 健診結果は持参した方がよいですか?

はい。過去のLDLコレステロール、中性脂肪、HDLコレステロール、肝機能、血糖、HbA1c、血圧、体重変化がわかると、より適切に判断できます。

悪玉コレステロール・中性脂肪を指摘された方はご相談ください

脂質異常症は、血管と肝臓の両方に関わる重要なサインです。

永田胃腸・消化器医院では、採血、生活習慣の確認、必要に応じた頸動脈エコーにより、脂質異常症と動脈硬化リスクを評価します。脂肪肝や肝機能異常を伴う方では、腹部エコーなどで肝臓の状態も確認し、肝線維化が疑われる場合には、診察のうえで肝臓エラストグラフィの適応を検討します。

「薬を飲むべきか迷っている」
「脂肪肝もあると言われた」
「動脈硬化が心配」
「健診結果をどう考えればよいかわからない」

このような方は、健診結果をご持参のうえ、一度当院へご相談ください。

関連ページ

頸動脈エコー
肝臓エラストグラフィ
超音波(エコー)検査
脂肪性肝疾患(脂肪肝・MASLD/MASH)
健診で異常を指摘された方へ

参考文献・参考資料

日本動脈硬化学会:動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年版

日本動脈硬化学会 編:動脈硬化性疾患予防のための脂質異常症診療ガイド2023年版.日本動脈硬化学会,2023年.

厚生労働省 健康日本21アクション支援システム e-ヘルスネット:脂質異常症

厚生労働省 健康日本21アクション支援システム e-ヘルスネット:脂質異常症の食事

厚生労働省 健康日本21アクション支援システム e-ヘルスネット:脂質異常症を改善するための運動

日本動脈硬化学会:成人家族性高コレステロール血症診療ガイドライン フォーカスアップデート2025

日本消化器病学会:MASLD診療ガイドライン2026(改訂第3版)-代謝機能障害関連脂肪性肝疾患-

日本消化器病学会・日本肝臓学会 編:患者さんとご家族のためのNAFLD/NASHガイド2023

日本超音波医学会 用語・診断基準委員会:脂肪肝の超音波診断基準.2021年.

日本超音波医学会:超音波エラストグラフィ診療ガイドライン:肝臓

日本超音波医学会 用語・診断基準委員会:超音波による頸動脈病変の標準的評価法2017

富士フイルム:ARIETTA 650 DeepInsight SE 製品情報

富士フイルム:ARIETTA 650 DeepInsight SE 画像処理技術情報

この記事の執筆者

理事長・院長 永田 浩一

略歴
1996年 国立群馬大学医学部医学科卒業
1996年-2001年 東京女子医科大学 附属第二病院(現 足立医療センター) 外科
2001年-2007年 昭和大学 横浜市北部病院 消化器センター
2007年-2011年 ハーバード大学 医学部 放射線科
2011年-2014年 亀田メディカルセンター 消化器科・放射線科 部長
2014年-2015年 NTT東日本伊豆病院 健診センター 特任部長
2015年-2019年 国立がん研究センター 検診研究部 検診評価研究室長
2018年4月-現在 国立がん研究センター 中央病院 検診センター (併任)
2019年4月-2026年3月 福島県立医科大学 消化器内科学講座 特任教授

資格
消化器内視鏡認定医・専門医・指導医
消化器病専門医・指導医
消化器がん検診総合認定医・消化器がん検診指導医
外科認定医・認定登録医
胃腸科専門医
難病指定医
便通マネージメントドクター
アメリカ消化器内視鏡学会(American Society for Gastrointestinal Endoscopy) 国際会員
アメリカ消化器病学会(American College of Gastroenterology) 国際会員
医学博士(昭和大学):学位論文
Polyethylene glycol solution (PEG) plus contrast-medium vs. PEG alone preparation for CT colonography and conventional colonoscopy in preoperative colorectal cancer staging. Int J Colorectal Dis 2007; 22: 69-76.

学会役員やジャーナルの役職など
Honorary Editors-In-Chief (International Journal of Radiology), Editorial Board Member (World Journal of Gastroenterology, World Journal of Radiology, World Journal of Gastrointestinal Endoscopyなど7英文誌)
日本消化器内視鏡学会 関東支部評議員
消化管先進画像診断研究会(GAIA) 代表世話人
元 日本消化器がん検診学会 代議員
日本消化器がん検診学会 大腸CT検査技師認定委員会 副委員長
日本消化器がん検診学会 編集委員会委員
元 日本消化器がん検診学会 教育・研修委員会委員
元 日本消化器がん検診学会 編集委員会 用語集改訂小委員会委員
日本大腸検査学会 評議員

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