げっぷ
げっぷは、食事のときに飲み込んだ空気や胃の中のガスが口から出る生理的な反応で、健康な方にもよくみられる症状です。
一方で、「げっぷが以前より増えた」「げっぷが止まらない」「胸やけ・胃もたれ・胃痛・吐き気を伴う」「食欲が落ちた」「体重が減ってきた」といった場合には、逆流性食道炎、機能性ディスペプシア、胃炎、胃潰瘍、まれに胃がん・食道がんなどの病気が隠れていることもあります。
袋井市の永田胃腸・消化器医院では、消化器専門医・内視鏡専門医が、症状の経過や生活習慣を丁寧に確認し、必要に応じて胃カメラ・腹部エコー・血液検査などを行い、原因に合わせた治療をご提案しています。
げっぷの原因
げっぷの原因は、大きく分けると「生活習慣によるもの」「胃腸の機能低下によるもの」「消化器疾患によるもの」があります。
生活習慣によるげっぷ
次のような習慣があると、空気を飲み込みやすくなったり、胃の中にガスがたまりやすくなったりして、げっぷが増えることがあります。
・早食い、早飲み
・よく噛まずに食べる
・炭酸飲料をよく飲む
・コーヒー、紅茶、エナジードリンクなどカフェインを多くとる
・ガム、飴、喫煙などで空気を飲み込みやすい
・脂っこい食事、刺激物、食べすぎ
・食後すぐに横になる
・ストレスや緊張が強い
胃腸の働きの低下によるげっぷ
胃の動きが低下すると、食べ物や空気が胃の中にとどまりやすくなり、げっぷ、胃もたれ、膨満感、吐き気などが出ることがあります。機能性ディスペプシアや便秘、過敏性腸症候群などでも、げっぷやお腹の張りを自覚することがあります。
げっぷは不健康?健康?
げっぷは健康な人でも日常的にみられる一般的な症状です。げっぷが出るからといって、直ちに不健康だというわけではありません。けれども、げっぷが治療の必要のある重要な消化器疾患のサインである可能性もあります。大切なことは、げっぷが長く続く・頻度が多い・不快感が強いなどを自覚している場合に、重篤な胃腸の病気が隠れていないか診断し必要があれば根本的な治療を行うことです。
げっぷと関係する主な病気
逆流性食道炎・胃食道逆流症
胃酸や胃の内容物が食道へ逆流することで、胸やけ、呑酸、げっぷ、のどの違和感、咳などが出ることがあります。食後や横になったときに症状が強くなる方もいます。
機能性ディスペプシア
胃カメラなどで明らかな異常が見つからないにもかかわらず、胃もたれ、早期満腹感、みぞおちの痛み、吐き気、げっぷなどが続く病気です。胃の動きの低下、胃の知覚過敏、ストレスなどが関係します。日本消化器病学会の機能性ディスペプシア診療ガイドラインでも、内視鏡検査の位置づけや、酸分泌抑制薬、消化管運動機能改善薬、漢方薬、抗不安薬・抗うつ薬などの治療選択肢が整理されています。
呑気症・空気嚥下
無意識に空気を飲み込みやすい状態です。緊張、不安、早食い、会話しながらの食事、ガム、喫煙などが関係することがあります。げっぷだけでなく、お腹の張りやおならが増えることもあります。
胃炎・胃潰瘍・十二指腸潰瘍
胃の粘膜に炎症や傷があると、みぞおちの痛み、胃もたれ、吐き気、食欲低下、げっぷなどを伴うことがあります。ピロリ菌感染や痛み止めの薬が関係することもあります。
便秘・過敏性腸症候群
便秘や腸の動きの乱れにより、お腹の張り、ガス、げっぷ、腹痛などを自覚することがあります。げっぷが胃だけでなく腸の不調と関連している場合もあります。
食道がん・胃がんなど
げっぷだけでがんを強く疑うことは多くありませんが、体重減少、食欲低下、貧血、黒い便、飲み込みにくさなどを伴う場合には、内視鏡検査で確認することが重要です。
検査や診察が必要になるげっぷの種類
げっぷ自体は、がんや他の危険な病気の典型的な症状ではありません。しかし、げっぷの頻度が多い、胸やけや腹痛などの症状もある、体重が減ってきた、食が細くなった、微熱を伴う、頑固な便秘があるなどの場合は、診察や検査を受ける必要があります。げっぷにこれらの症状を伴う場合は、日常的なげっぷや機能性疾患以外に、逆流性食道炎や胃潰瘍・十二指腸潰瘍、急性胃炎などの炎症性疾患や腫瘍(食道がん、胃がん、大腸がん、慢性憩室炎)など器質的疾患がある可能性が否定できません。
げっぷを減らすために自分でできる工夫
まずは、次のような生活習慣を見直してみましょう。
・ゆっくり食べる
・よく噛んで食べる
・食べすぎを避ける
・炭酸飲料を控える
・コーヒー、アルコール、刺激物をとりすぎない
・脂っこい食事を控える
・食後すぐに横にならない
・夕食を寝る直前にとらない
・便秘を改善する
・ストレスや緊張が強いときは、腹式呼吸を意識する
ただし、生活改善をしても症状が続く場合や、胸やけ・胃痛・体重減少などを伴う場合には、医療機関で原因を確認することが大切です。
このようなげっぷは一度ご相談ください
次のような症状を伴うげっぷは、胃腸の病気が隠れていないか確認が必要です。
・げっぷが何週間も続いている
・げっぷの回数が急に増えた
・胸やけ、呑酸、のどの違和感がある
・胃もたれ、みぞおちの痛み、吐き気がある
・食欲が落ちてきた
・体重が減ってきた
・黒い便、血便、貧血を指摘された
・飲み込みにくい、食べ物がつかえる
・発熱や強い腹痛を伴う
・市販薬を使っても改善しない
特に、体重減少、貧血、黒い便、飲み込みにくさ、症状の急な悪化がある場合には、胃カメラなどで食道・胃・十二指腸の状態を確認することが大切です。
当院で行うげっぷ症状への診察・検査・治療
げっぷと関連のある病気がないか、最初に問診や触診などによる診察を行います。適切な検査をすでに受けている、あるいは診察で、食事や生活習慣が原因と考えられる場合には専門医や管理栄養士が食事指導や生活・運動指導を行います。飲食の際に空気をあまり飲み込まないよう、ゆっくりと食事をしましょう。消化の悪い脂っこい食べ物やスパイシーな食べ物を控えることも大切です。カフェイン、炭酸飲料、人工甘味料などは胃腸を刺激しげっぷの原因となることもあるのでなるべく控えましょう。毎日定期的に運動することにより、げっぷなどの胃腸の症状が軽減されることもあります。便秘や消化機能低下が原因の場合には下剤や消化管運動亢進薬による治療を行います。便秘や腸内環境の乱れが関係していると考えられる場合には、整腸剤などを検討することがあります。ただし、げっぷの原因は人によって異なるため、自己判断でサプリメントや整腸剤を続けるのではなく、症状や体質に合わせて治療方針を決めることが大切です。
問診や触診などから治療を必要とする炎症性疾患や器質的疾患が疑われる場合には、胃カメラ(上部消化管内視鏡検査)、大腸カメラ(全大腸内視鏡検査)、腹部レントゲン検査、血液検査、あるいは腹部エコー(超音波検査)などによりきちんと検査を受けることが重要です。これらの検査により機能性疾患、炎症性疾患、器質的疾患を正確に診断していきます。病気の診断とその重症度・進行度を判断することにより、患者様に一番適切で根本的な治療を迅速に行っていきます。進行した腫瘍性病変を認めた場合などでは、治療が可能な適切な基幹病院に迅速にご紹介いたします。
当院での診療の流れ
1. 問診
げっぷが始まった時期、回数、食事との関係、胸やけ・胃痛・胃もたれ・吐き気・便秘・体重減少の有無、服用中の薬、ピロリ菌検査歴などを確認します。
2. 診察
お腹の張り、圧痛、便秘の有無などを確認します。
3. 必要に応じた検査
症状に応じて、胃カメラ検査、腹部エコー検査、血液検査、腹部レントゲン検査などを検討します。胸やけ、胃痛、食欲低下、体重減少、貧血、黒い便、飲み込みにくさがある場合には、胃カメラ検査で食道・胃・十二指腸を確認することが重要です。
4. 原因に合わせた治療
逆流性食道炎、胃炎、胃潰瘍、機能性ディスペプシア、便秘、生活習慣、ストレスなど、原因に応じて生活指導や薬物療法を行います。必要に応じて、専門病院への紹介も行います。
よくあるご質問
Q. げっぷが多いだけでも受診した方がよいですか?
げっぷだけで、食欲があり体重減少もなく、短期間で改善している場合は、生活習慣が関係していることも多いです。ただし、何週間も続く、急に増えた、胸やけ・胃痛・吐き気・食欲低下を伴う場合は一度ご相談ください。
Q. げっぷと胃がんは関係ありますか?
げっぷだけで胃がんを強く疑うことは通常ありません。ただし、体重減少、食欲低下、貧血、黒い便、みぞおちの痛み、飲み込みにくさなどを伴う場合には、胃カメラで確認することが大切です。
Q. 胸やけとげっぷが続く場合は何が考えられますか?
逆流性食道炎や胃食道逆流症が関係していることがあります。食後や横になったときに悪化する場合、酸っぱいものが上がる感じがある場合には、消化器内科でご相談ください。
Q. ストレスでげっぷが増えることはありますか?
あります。緊張や不安が強いと、無意識に空気を飲み込みやすくなり、げっぷやお腹の張りが増えることがあります。ただし、ストレスと決めつけず、長引く場合は胃腸の病気がないか確認することも大切です。
Q. 胃カメラ検査は必要ですか?
すべてのげっぷに胃カメラ検査が必要なわけではありません。ただし、胸やけ、胃痛、胃もたれ、吐き気、食欲低下、体重減少、貧血、黒い便、飲み込みにくさを伴う場合や、症状が長引く場合には、胃カメラを検討します。
参考文献
日本消化器病学会. 胃食道逆流症(GERD)診療ガイドライン2021 改訂第3版.
日本消化器病学会. 機能性消化管疾患診療ガイドライン2021 機能性ディスペプシア(FD).
この記事の執筆者
理事長・院長 永田 浩一
略歴
1996年 国立群馬大学医学部医学科卒業
1996年-2001年 東京女子医科大学 附属第二病院(現 足立医療センター) 外科
2001年-2007年 昭和大学 横浜市北部病院 消化器センター
2007年-2011年 ハーバード大学 医学部 放射線科
2011年-2014年 亀田メディカルセンター 消化器科・放射線科 部長
2014年-2015年 NTT東日本伊豆病院 健診センター 特任部長
2015年-2019年 国立がん研究センター 検診研究部 検診評価研究室長
2018年4月-現在 国立がん研究センター 中央病院 検診センター (併任)
2019年4月-2026年3月 福島県立医科大学 消化器内科学講座 特任教授
資格
消化器内視鏡認定医・専門医・指導医
消化器病専門医・指導医
消化器がん検診総合認定医・消化器がん検診指導医
外科認定医・認定登録医
胃腸科専門医
難病指定医
便通マネージメントドクター
アメリカ消化器内視鏡学会(American Society for Gastrointestinal Endoscopy) 国際会員
アメリカ消化器病学会(American College of Gastroenterology) 国際会員
医学博士(昭和大学):学位論文
Polyethylene glycol solution (PEG) plus contrast-medium vs. PEG alone preparation for CT colonography and conventional colonoscopy in preoperative colorectal cancer staging. Int J Colorectal Dis 2007; 22: 69-76.
学会役員やジャーナルの役職など
Honorary Editors-In-Chief (International Journal of Radiology), Editorial Board Member (World Journal of Gastroenterology, World Journal of Radiology, World Journal of Gastrointestinal Endoscopyなど7英文誌)
日本消化器内視鏡学会 関東支部評議員
消化管先進画像診断研究会(GAIA) 代表世話人
元 日本消化器がん検診学会 代議員
日本消化器がん検診学会 大腸CT検査技師認定委員会 副委員長
日本消化器がん検診学会 教育・研修委員会委員
日本消化器がん検診学会 編集委員会 用語集改訂小委員会委員
日本大腸検査学会 評議員
