おならが臭い
おならが臭い…それ、腸からのサインかもしれません
「最近、おならの臭いが気になる…」「便秘ではないのに、おならがくさい」
そんな悩み、誰かに相談しにくいけれど、気になることってありますよね。
実は、おならの臭いは、腸内環境や生活習慣の変化を知らせてくれる“体からのサイン”かもしれません。
ちょっとした心がけで改善できることも多いので、まずはおならが作られるしくみや原因について解説します。
おならはどこからくるの?
おならは、口から飲み込んだ空気や、腸内細菌の働きによって発生したガスなどが合わさって体外に出てくるもの。1日に7〜20回ほど排出されるのが一般的です。
実はその大部分は無臭なのですが、特有の「におい」がある場合、それは腸内細菌の活動によるガスが関係しています。
特に「ゆで卵のようなにおい」が気になる場合、それは「硫化水素」というガスが原因と考えられます。これは、肉や魚に含まれるたんぱく質を腸内の悪玉菌が分解するときに発生するものです。
腸内細菌のバランスがカギ
腸の中には、なんと1000種類・100兆個以上の細菌が住んでいます。
それらは大きく「善玉菌」「悪玉菌」「日和見菌(中間の菌)」に分かれています。腸内では、これらのバランスがとても大切です。
- 善玉菌:乳酸菌やビフィズス菌など。野菜・果物・発酵食品を好み、腸を元気に保つはたらきがあります。
- 悪玉菌:ウェルシュ菌など。肉中心の食事や便秘、ストレスなどで増えやすく、臭いガス(アンモニア・スカトールなど)を出します。
腸内細菌は食物を発酵させる過程で水素・二酸化炭素・メタンなどのガスを産生します。つまり、悪玉菌が増えると硫化水素などの臭いの強いガスが増え、おならが臭くなりやすくなるのです。
こんな生活習慣、思い当たりませんか?
おならのにおいが気になるとき、こんな生活が続いていませんか?
- 肉料理が続いている
- 野菜や果物はあまり食べない
- ストレスや寝不足が多い
- 運動不足気味
- 便秘気味、お腹の張りが気になる
こうした生活習慣は、腸内環境を乱す原因になります。知らず知らずのうちに、腸内で悪玉菌が増えてしまっているかもしれません。
善玉菌を育てて、腸を元気に!
においの原因となるガスを減らすには、「善玉菌を増やす生活習慣」がポイントです。
毎日の生活で心がけたいこと
- 食事バランス:野菜や海藻、豆類など食物繊維の多いものを意識的に取り入れましょう。
- 発酵食品を味方に:ヨーグルト・納豆・キムチ・味噌などには乳酸菌やビフィズス菌が含まれています。
- よく噛んで食べる:早食いは空気を飲み込みやすく、ガスの原因になります。
- ストレスをためない:自律神経の乱れは腸の働きに直結します。
- 睡眠と運動:軽いウォーキングやストレッチでもOK。腸の動きが活発になります。
特に発酵食品は、毎日少しずつ続けることが大切です。チーズは加熱していないナチュラルチーズを選ぶと、より多くの乳酸菌を取り入れられます。
大腸がんとおならの関係?
おならの臭いと直接的な病気をすぐに結びつける必要はありませんが、実は腸内環境の悪化が、大腸がんのリスクにも関係していることがわかっています。
近年、日本人の大腸がんが増えいています(罹患数、死亡数)。
特に、赤身肉の過剰摂取は、腸内の悪玉菌を増やし、発がん物質を作りやすくすることがわかっています。
「最近おならが臭いだけでなく、便秘がちになってきた」「お腹が張っている感じが続く」「血便が出たことがある」などの症状がある場合は、早めの大腸検査が安心です。
病気が原因のこともあります
おならの臭いが強くなる原因として、以下の病気が関係していることがあります。
- 便秘症
- 過敏性腸症候群(IBS)
- 小腸内細菌増殖症(SIBO)
- 炎症性腸疾患
- 消化吸収障害
特に
- 腹部膨満
- 下痢
- 便秘
- 腹痛
を伴う場合は、消化器疾患の可能性があります。
受診の目安
以下の症状がある場合は、消化器内科の受診をおすすめします。
- おならの臭いが急に強くなった
- 腹部膨満が続く
- 下痢や便秘を繰り返す
- 体重減少がある
- 便に血が混じる
必要に応じて
- 大腸カメラ
- 腹部エコー
- 腹部単純レントゲン写真
- 血液検査
などを行います。
大腸内視鏡での検査について
当院では、大腸内視鏡(カメラ)による検査を行っています。
この検査では、大腸の中を直接確認し、ポリープなどの病変があればその場で切除も可能です。
実は、大腸がんの約85%はポリープから発生すると言われており、早期発見・早期対処がとても大切です。
大腸がんは40歳を過ぎるとリスクがぐっと上がります。「ちょっと気になるな」と思ったタイミングが、体からの大事なサインかもしれません。
まとめ:おならの臭いに気づいたら、腸を見直すチャンス
おならの臭いは、腸内環境の鏡のような存在です。
放っておくと体調全体に影響を及ぼすこともあるため、生活習慣を見直すきっかけにしてみましょう。
「ちょっと気になるけど、病院に行くほどかな?」
そんな時は、LINEでのご相談も可能です。どうぞお気軽にお声がけください。
腸のこと、便のこと、おならのこと——
誰にとっても大切な体のサインを、日々の暮らしの中で一緒に見守っていきましょう。
参考文献
Hasler WL. Gas and Bloating. Gastroenterol Hepatol (N Y). 2006;2(9):654-662.
Mutuyemungu E. et al.Intestinal gas production by the gut microbiota: A review (2023)
Staudacher HM et al. Low FODMAP diet reduces symptoms in IBS (RCT)
Mazzawi T. et al. Dietary factors and IBS pathophysiology
RACGP Review Wind – problems with intestinal gas
Gastroenterology review chapter. Gas, Belching, Bloating and Flatulence
日本消化管学会:便通異常症診療ガイドライン2023(慢性便秘症)Minds概要
AGA Clinical Practice Update(2023):belching / abdominal bloating / distention
AGA-ACG:慢性特発性便秘(CIC)薬物治療ガイドライン(Gastroenterology 2023)
ESNM(European Society of Neurogastroenterology and Motility)便秘ガイドライン(2020)
この記事の執筆者
理事長・院長 永田 浩一
略歴
1996年 国立群馬大学医学部医学科卒業
1996年-2001年 東京女子医科大学 附属第二病院(現 足立医療センター) 外科
2001年-2007年 昭和大学 横浜市北部病院 消化器センター
2007年-2011年 ハーバード大学 医学部 放射線科
2011年-2014年 亀田メディカルセンター 消化器科・放射線科 部長
2014年-2015年 NTT東日本伊豆病院 健診センター 特任部長
2015年-2019年 国立がん研究センター 検診研究部 検診評価研究室長
2018年4月-現在 国立がん研究センター 中央病院 検診センター (併任)
2019年4月-現在 福島県立医科福島県立医科大学 消化器内科学講座 特任教授(併任)
資格
消化器内視鏡認定医・専門医・指導医
消化器病専門医・指導医
消化器がん検診総合認定医・消化器がん検診指導医
外科認定医・認定登録医
胃腸科専門医
難病指定医
便通マネージメントドクター
アメリカ消化器内視鏡学会(American Society for Gastrointestinal Endoscopy) 国際会員
アメリカ消化器病学会(American College of Gastroenterology) 国際会員
医学博士(昭和大学):学位論文
Polyethylene glycol solution (PEG) plus contrast-medium vs. PEG alone preparation for CT colonography and conventional colonoscopy in preoperative colorectal cancer staging. Int J Colorectal Dis 2007; 22: 69-76.
学会役員やジャーナルの役職など
Honorary Editors-In-Chief (International Journal of Radiology), Editorial Board Member (World Journal of Gastroenterology, World Journal of Radiology, World Journal of Gastrointestinal Endoscopyなど7英文誌)
日本消化器内視鏡学会 関東支部評議員
消化管先進画像診断研究会(GAIA) 代表世話人
元 日本消化器がん検診学会 代議員
日本消化器がん検診学会 大腸CT検査技師認定委員会 副委員長
日本消化器がん検診学会 教育・研修委員会委員
日本消化器がん検診学会 編集委員会 用語集改訂小委員会委員
日本大腸検査学会 評議員
