メニュー

食道カンジダ症

食べ物がつかえる、飲み込むと痛い、胸の奥がしみるといった症状はありませんか。
耳鼻咽喉科で異常が見つからなくても、食道にカンジダという真菌が増殖する「食道カンジダ症」が隠れていることがあります。

一方、食道カンジダ症は、健康診断や人間ドックの胃カメラ検査で偶然見つかることもあります。症状の有無、内視鏡所見、糖尿病や服用薬などを確認し、治療が必要かどうかを判断します。

永田胃腸・消化器医院では、消化器内視鏡専門医・指導医が胃カメラ検査を行い、食道の状態を詳しく確認します。

食道カンジダ症とは

「最近、食べ物が引っかかる」「喉に違和感があるのに、耳鼻科では異常なし」
このような症状の裏に、“食道のカンジダ感染”が隠れていることがあります。

食道カンジダ症(カンジダ性食道炎)は、口腔や消化管などに存在するカンジダ属真菌が食道粘膜で増殖し、炎症を起こす病気です。胃カメラ検査では、食道粘膜に白色の付着物や白苔として認められます。胃カメラ検査時に偶然発見されることもあります。免疫力が低下している時にかかりやすく、糖尿病などの既往症がある場合や別の疾患でステロイド治療を受けている場合にはリスクが高くなります。感染して増殖すると食道粘膜で白い苔(こけ)のように広がり、胃カメラ検査で見つかります。つかえやしみる感じといった自覚症状はないこともあります。

一般的な診療ガイドラインでは、食道カンジダ症には、内服などの全身性抗真菌薬による治療が推奨されています。
一方、免疫機能が保たれた無症状例では、抗真菌薬治療の有無と内視鏡的な病変消失との間に明確な差がみられなかったとする観察研究もあります。
当院では、飲み込むと痛い・食べ物がつかえるなどの症状、病変の広がり、糖尿病などの背景疾患、免疫状態、使用している薬などを総合し、治療または経過観察を個別に判断します。

カンジダは身の回りや体内にも存在し得る真菌であり、食道カンジダ症は、必ずしも他人から感染して発症する病気ではありません。

食道カンジダ症の主な症状

軽症では症状がないこともありますが、病変が広がると次のような症状が現れることがあります。

早めの胃カメラ検査が必要な症状

次のような症状がある場合は、食道カンジダ症だけでなく、食道がんや食道狭窄なども除外する必要があります。

  • 症状が徐々に強くなっている
  • 固形物だけでなく水分も飲み込みにくい
  • 体重が減っている
  • 吐血や黒い便がある
  • 貧血を指摘された
  • 食べ物が完全につかえて通らない
  • 抗がん剤治療中、免疫抑制薬使用中などである

嚥下障害、嚥下痛、体重減少、消化管出血、原因不明の鉄欠乏性貧血などは、上部消化管内視鏡検査を検討すべき警告症状です。食べ物が完全につかり、唾液も飲み込めない場合、呼吸が苦しい場合、大量の吐血がある場合は、通常の外来予約を待たず、救急医療機関へご相談ください。

これらの症状があるからといって、必ずしも食道がんというわけではありません。原因を確認するため、早めの検査が大切です。

食道カンジダ症の原因・なりやすい方

  • 糖尿病
  • 吸入ステロイド薬
  • 内服・注射のステロイド薬
  • 抗菌薬を使用した後
  • 免疫抑制薬
  • 抗がん剤治療
  • 悪性腫瘍
  • 臓器移植後
  • 高齢
  • プロトンポンプ阻害薬(PPI)などの胃酸分泌抑制薬を使用している方(胃酸分泌抑制薬が必要な方も多いため、自己判断で中止せず、処方医に相談してください)
  • 食道運動機能の低下
  • 栄養状態の低下
  • HIV感染症などによる免疫機能低下

研究では、糖尿病、プロトンポンプ阻害薬、ステロイド薬、免疫抑制状態、悪性腫瘍などとの関連が報告されています。ただし、これらがあるから必ず発症するわけではありません。

喘息や慢性閉塞性肺疾患の治療で吸入ステロイド薬を使用している方では、口腔や食道のカンジダ症が起こることがあります。吸入後は処方時の指示に従ってうがいを行い、薬は自己判断で中止せず、処方医に相談してください。

胃カメラ検査による食道カンジダ症の診断

食道カンジダ症では、胃カメラ検査で食道粘膜に白色の付着物や白苔が認められます。水で洗浄しても簡単には除去できない白色病変が特徴です。

ただし、食道に白い病変があるからといって、すべてが食道カンジダ症とは限りません。好酸球性食道炎、薬剤性食道炎、逆流性食道炎、ウイルス性食道炎などとの区別が必要になることがあります。内視鏡所見だけで判断しにくい場合には、組織検査や細胞検査を行います。

食道カンジダ症の治療方法

  • 症状がある場合は抗真菌薬による治療を行う
  • 症状は治療開始後、比較的早期に改善することが多い
  • 背景となる糖尿病、薬剤、免疫抑制状態なども確認する
  • 自己判断で薬を中止しない
  • 改善しない場合は別の病気や薬剤耐性も検討する

IDSAガイドラインでは、臨床的な食道カンジダ症に対して全身性抗真菌薬治療が推奨され、多くは治療開始後7日以内に症状の改善がみられるとされています。多くの場合、治療開始後比較的早期に症状が改善しますが、改善の程度には個人差があります。抗真菌薬は、現在服用している薬と相互作用を起こすことがあります。受診の際には、お薬手帳や服用中の薬が分かるものをお持ちください。

再検査は必要?

治療後に必ず全員が胃カメラを受け直すわけではありません。症状の改善状況、初回の病変の程度、免疫機能低下の有無、他の病気を除外できているかなどによって判断します。

症状が改善しない場合、短期間で再発する場合、初回の病変が広範囲であった場合には、再診や再検査が必要になることがあります。

食道がんとの違い

食道カンジダ症と食道がんは別の病気です。食道カンジダ症がそのまま食道がんになるわけではありません。

ただし、「食べ物がつかえる」「飲み込みにくい」「体重が減る」といった症状は、食道がんでもみられます。また、白苔が広範囲に付着していると、その下の食道粘膜を十分に観察しにくいことがあります。そのため、症状や内視鏡所見に応じて慎重に確認します。

当院で経験した症例

当院の胃カメラ検査で確認された食道カンジダ症の内視鏡画像です。

※患者様から、個人を特定できない形での画像使用について許可・同意をいただいています。

画像をクリックすると拡大してご覧いただけます。

食道粘膜に広範囲の白色付着物を認めます。
白色の付着物が食道全体に広がっています。
食道粘膜を覆うように白苔が付着しています。

70歳代の男性が、食べ物のつかえ感と、繰り返すしゃっくりを主訴に受診されました。胃カメラ検査を行ったところ、食道全体に白色の付着物が広がっており、重症の食道カンジダ症と診断しました。

抗真菌薬による治療を行い、症状は改善しました。

※症状、治療効果および治療期間には個人差があります。

当院には袋井市のほか、磐田市、掛川市、菊川市、森町、浜松市、御前崎市など静岡県西部の各地域から、胃カメラ検査を希望される方が来院されています。
食べ物のつかえ感が続く方、耳鼻咽喉科で異常がなかった方、健診の胃カメラで食道カンジダ症を指摘された方もご相談ください。

よくあるご質問

食道カンジダ症は人にうつりますか?

通常は、一般的な風邪のように周囲の人へ容易にうつる病気ではありません。カンジダは体内にも存在し得る真菌で、体調や薬剤などの条件が重なることで増殖します。

食道カンジダ症はがんですか?

食道カンジダ症と食道がんは別の病気です。ただし、飲み込みにくさなどの症状は共通することがあるため、胃カメラ検査で確認することが重要です。

症状がなくても治療が必要ですか?

一般的な診療ガイドラインでは、食道カンジダ症には内服などの全身性抗真菌薬が推奨されています。一方、免疫機能が保たれた無症状の軽症例では、経過観察が選択される場合もあります。症状、病変の程度、持病、使用している薬などを確認し、個別に判断します。

薬を飲めば治りますか?

多くの場合は抗真菌薬によって改善が期待できます。ただし、背景疾患や使用薬剤がある場合には、その確認や調整も重要です。

治療後に胃カメラ検査を受ける必要がありますか?

すべての方に再検査が必要とは限りません。症状の改善、初回所見、再発の有無などから判断します。

食道カンジダ症を繰り返す場合はどうしますか?

糖尿病、薬剤、免疫機能の低下、食道運動機能の異常などがないかを確認します。必要に応じて血液検査や再度の胃カメラ検査を行います。

参考文献・参考資料

Pappas PG, Kauffman CA, Andes DR, et al. Clinical Practice Guideline for the Management of Candidiasis: 2016 Update by the Infectious Diseases Society of America. Clin Infect Dis. 2016;62(4):e1-e50. doi:10.1093/cid/civ933.

Hirai T, Nashi M. Pharmacological Management of Oral and Esophageal Candidiasis: A Clinical Pharmacotherapy Perspective. J Clin Med. 2025;14(21):7537. doi:10.3390/jcm14217537.

Mohamed AA, Lu XL, Mounmin FA. Diagnosis and Treatment of Esophageal Candidiasis: Current Updates. Can J Gastroenterol Hepatol. 2019;2019:3585136. doi:10.1155/2019/3585136.

Ogiso H, Adachi S, Mabuchi M, et al. Risk Factors for the Development of Esophageal Candidiasis Among Patients in Community Hospital. Sci Rep. 2021;11(1):20663. doi:10.1038/s41598-021-00132-w.

Kimchy AV, Ahmad AI, Tully L, et al. Prevalence and Clinical Risk Factors for Esophageal Candidiasis in Non-Human Immunodeficiency Virus Patients: A Multicenter Retrospective Case-Control Study. World J Gastrointest Endosc. 2023;15(6):480-490. doi:10.4253/wjge.v15.i6.480.

Min YW, Kim E, Son HJ, et al. Antifungal Treatment Is Not Required for Immunocompetent Individuals With Asymptomatic Esophageal Candidiasis. Medicine (Baltimore). 2015;94(45):e1969. doi:10.1097/MD.0000000000001969.

この記事の執筆者

理事長・院長 永田 浩一

略歴
1996年 国立群馬大学医学部医学科卒業
1996年-2001年 東京女子医科大学 附属第二病院(現 足立医療センター) 外科
2001年-2007年 昭和大学 横浜市北部病院 消化器センター
2007年-2011年 ハーバード大学 医学部 放射線科
2011年-2014年 亀田メディカルセンター 消化器科・放射線科 部長
2014年-2015年 NTT東日本伊豆病院 健診センター 特任部長
2015年-2019年 国立がん研究センター 検診研究部 検診評価研究室長
2018年4月-現在 国立がん研究センター 中央病院 検診センター (併任)
2019年4月-2026年3月 福島県立医科大学 消化器内科学講座 特任教授

資格
消化器内視鏡認定医・専門医・指導医
消化器病専門医・指導医
消化器がん検診総合認定医・消化器がん検診指導医
外科認定医・認定登録医
胃腸科専門医
難病指定医
便通マネージメントドクター
アメリカ消化器内視鏡学会(American Society for Gastrointestinal Endoscopy) 国際会員
アメリカ消化器病学会(American College of Gastroenterology) 国際会員
医学博士(昭和大学):学位論文
Polyethylene glycol solution (PEG) plus contrast-medium vs. PEG alone preparation for CT colonography and conventional colonoscopy in preoperative colorectal cancer staging. Int J Colorectal Dis 2007; 22: 69-76.

学会役員やジャーナルの役職など
Honorary Editors-In-Chief (International Journal of Radiology), Editorial Board Member (World Journal of Gastroenterology, World Journal of Radiology, World Journal of Gastrointestinal Endoscopyなど7英文誌)

日本消化器内視鏡学会 関東支部評議員
消化管先進画像診断研究会(GAIA) 代表世話人

元 日本消化器がん検診学会 代議員
日本消化器がん検診学会 大腸CT検査技師認定委員会 副委員長
日本消化器がん検診学会 教育・研修委員会委員
日本消化器がん検診学会 編集委員会 用語集改訂小委員会委員
日本大腸検査学会 評議員

▲ ページのトップに戻る

Close

HOME