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胃潰瘍・十二指腸潰瘍

胃壁や十二指腸の腸壁が深く傷ついている状態で、胃潰瘍と十二指腸潰瘍を合わせて消化性潰瘍と呼ばれることもあります。ピロリ菌感染によって起こっているケースが多く、次いで非ステロイド性抗炎症薬の服用によるものがあります。炎症が繰り返され、粘膜を守る粘液が減るなどによって傷が深くなって潰瘍になります。潰瘍が深くなると、潰瘍出血や潰瘍穿孔といった重篤な状態になることがあり、早めの治療が必要です。またピロリ菌感染がある場合には、進行させてしまうと胃がんリスクも高くなりますので、早めに内視鏡検査を受けて、感染がわかったら除菌治療を受けることが重要です。ピロリ菌除菌に成功した場合、潰瘍や炎症の再発を抑制できますし、胃がんリスクも下げることができます。

当院では地元の袋井市はもちろん、静岡県西部地方の掛川市、菊川市、磐田市、森町、浜松市、御前崎市などから、多くの患者様に胃カメラ検査の受診目的でご来院して頂いております。ご遠方の方でも安心して胃カメラを受けて頂けるために、検査の開始時間を午前・午後の幅広い時間帯で柔軟に対応しています。胃カメラをご希望の方はお気軽にご相談下さい。

胃潰瘍・十二指腸潰瘍の主な症状

胃潰瘍・十二指腸潰瘍では、次のような症状がみられることがあります。

  • みぞおちの痛み
  • 胃の不快感
  • 胃もたれ
  • 吐き気・嘔吐
  • 食欲低下
  • 胸やけ
  • 空腹時や食後の腹痛
  • 黒い便(タール便)
  • 吐血
  • 貧血、だるさ(倦怠感)
  • めまい、ふらつき

症状の出方には個人差があり、痛みが軽くても潰瘍が進行していることがあります。反対に、自覚症状が少ないまま出血や貧血で見つかることもあります。気になる症状が続く場合は、自己判断せずご相談ください。

胃潰瘍・十二指腸潰瘍の主な原因

胃潰瘍・十二指腸潰瘍の主な原因として、以下が知られています。

1.ヘリコバクター・ピロリ菌感染

ピロリ菌は胃の中にすみつく細菌で、慢性的な炎症を起こし、胃や十二指腸の粘膜を傷つける原因になります。ピロリ菌感染があると、胃潰瘍や十二指腸潰瘍を繰り返しやすくなるため、必要に応じて除菌治療を実施します。

2.痛み止め(NSAIDs)の使用

鎮痛薬・解熱薬の一部であるNSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)は、胃や十二指腸の粘膜を守る働きを弱め、潰瘍の原因となることがあります。処方薬だけでなく、市販薬の使用が影響することもあります。

3.そのほか

上記以外にも、抗血栓薬の併用、全身状態、背景疾患などが関与することがあります。原因を正しく把握するために、症状だけでなく、普段のお薬や既往歴を確認します。

こんな方はご相談ください

次のような症状のある方は、胃潰瘍・十二指腸潰瘍の可能性があるため、一度ご相談ください。

  • みぞおちの痛みが続いている
  • 胃薬を飲んでもよくならない
  • 胃もたれや吐き気が長引く
  • 黒い便が出た
  • 吐血したことがある
  • 貧血を指摘された
  • 痛み止めをよく使う
  • ピロリ菌を指摘されたことがある
  • 過去に胃潰瘍・十二指腸潰瘍になったことがある
  • 胃癌や胃潰瘍・十二指腸潰瘍にかかったことのある身内(両親や祖父母)がいる

早めの受診、場合によっては救急受診が必要な症状

次のような症状がある場合は、早めの受診をおすすめします。症状が強い場合は、基幹病院の救急受診もご検討ください。

  • 吐血した
  • 黒い便が出た
  • 急に強い腹痛が出た
  • 歩くとお腹に響く
  • 冷や汗、ふらつき、息苦しさがある
  • 顔色が悪い、強いだるさがある
  • 水分もとれないほど気分が悪い

胃潰瘍・十二指腸潰瘍では、出血や穿孔などを起こすことがあり、早めの対応が重要です。

検査について

胃潰瘍・十二指腸潰瘍の診断には、胃カメラ(上部消化管内視鏡検査)が重要です。

胃カメラでは、胃や十二指腸の粘膜を直接観察し、

  • 潰瘍の有無
  • 潰瘍の深さや範囲
  • 出血の有無
  • 治りかけか、活動性があるか
  • ほかの病気が隠れていないか

などを確認します。

必要に応じて組織検査(生検)を行い、胃がんなどほかの病気との区別を行うこともあります。また、ピロリ菌感染の有無を調べ、再発予防につながる治療方針を検討します。胃カメラ検査は消化性潰瘍の診断で中心的な検査です。

治療について

治療は、原因や状態に応じて行います。

胃酸を抑える治療

潰瘍の治癒を促すために、胃酸分泌を抑えるお薬を使います。これにより、傷ついた粘膜の回復を助けます。

ピロリ菌の除菌治療

ピロリ菌感染が確認された場合は、再発予防のために除菌治療を検討します。ピロリ菌の除菌は、胃潰瘍・十二指腸潰瘍の再発を減らすうえで重要です。

お薬の見直し

痛み止めなどが原因として疑われる場合は、必要に応じて処方内容の確認や見直しを行います。自己判断で中止せず、まずはご相談ください。

再発予防のために大切なこと

胃潰瘍・十二指腸潰瘍は、一度よくなっても再発することがあります。再発予防のためには、原因に応じた対応が大切です。

  • ピロリ菌がいる場合は除菌治療を検討する
  • 痛み止めを常用している場合は医師に相談する
  • 症状がよくなっても自己判断で治療を中断しない
  • 黒い便や胃痛の再発があれば早めに受診する

当院の胃カメラ検査について

永田胃腸・消化器医院では、胃の痛み、胃もたれ、吐き気、黒い便などの症状がある方に対して、必要に応じて胃カメラ検査を行っています。
患者さんの不安に配慮しながら、丁寧な説明と診療を心がけています。

胃潰瘍・十二指腸潰瘍は、早めに原因を確認して適切な治療につなげることが大切です。
みぞおちの痛みや胃の不快感が続く方、黒い便が出た方、ピロリ菌を指摘されたことがある方は、お早めにご相談ください。

よくあるご質問

胃潰瘍と十二指腸潰瘍の違いは何ですか?

胃にできる潰瘍が胃潰瘍、十二指腸にできる潰瘍が十二指腸潰瘍です。どちらも消化性潰瘍に含まれ、症状や原因に共通点があります。

胃痛があると必ず潰瘍ですか?

必ずしもそうではありません。胃炎、機能性ディスペプシア、逆流性食道炎などでも似た症状が出ることがあります。症状が続く場合は、必要に応じて胃カメラで確認します。

ピロリ菌がいると必ず潰瘍になりますか?

必ずではありませんが、ピロリ菌感染は胃潰瘍・十二指腸潰瘍の重要な原因です。感染が確認された場合は、状態に応じて除菌治療を検討します。

黒い便が出たら様子を見てもよいですか?

黒い便は消化管出血のサインのことがあります。自己判断せず、早めに受診してください。

参考文献

日本消化器病学会 消化性潰瘍診療ガイドライン 2020(改訂第3版)

患者さんとご家族のための消化性潰瘍ガイド 2023

ACG Clinical Guideline: Treatment of Helicobacter pylori infection(2024)

Ford AC, et al. Eradication therapy for peptic ulcer disease in Helicobacter pylori-positive people. Cochrane Database Syst Rev. 2016;4:CD003840.

Wong CS, et al. Eradication of Helicobacter pylori for prevention of ulcer recurrence after simple closure of perforated peptic ulcer: a meta-analysis of randomized controlled trials. J Surg Res. 2013;182:219-26.

Ford AC, et al. Eradication therapy in Helicobacter pylori positive peptic ulcer disease: systematic review and economic analysis. Am J Gastroenterol. 2004;99:1833-55.

Vergara M, et al. Meta-analysis: role of Helicobacter pylori eradication in the prevention of peptic ulcer in NSAID users. Aliment Pharmacol Ther. 2005;21:1411-8.

Yang M, et al. Proton pump inhibitors for preventing non-steroidal anti-inflammatory drug induced gastrointestinal toxicity: a systematic review. Curr Med Res Opin. 2017;33:973-980. 

この記事の執筆者

理事長・院長 永田 浩一

略歴
1996年 国立群馬大学医学部医学科卒業
1996年-2001年 東京女子医科大学 附属第二病院(現 足立医療センター) 外科
2001年-2007年 昭和大学 横浜市北部病院 消化器センター
2007年-2011年 ハーバード大学 医学部 放射線科
2011年-2014年 亀田メディカルセンター 消化器科・放射線科 部長
2014年-2015年 NTT東日本伊豆病院 健診センター 特任部長
2015年-2019年 国立がん研究センター 検診研究部 検診評価研究室長
2018年4月-現在 国立がん研究センター 中央病院 検診センター (併任)
2019年4月-2026年3月 福島県立医科大学 消化器内科学講座 特任教授

資格
消化器内視鏡認定医・専門医・指導医
消化器病専門医・指導医
消化器がん検診総合認定医・消化器がん検診指導医
外科認定医・認定登録医
胃腸科専門医
難病指定医
便通マネージメントドクター
アメリカ消化器内視鏡学会(American Society for Gastrointestinal Endoscopy) 国際会員
アメリカ消化器病学会(American College of Gastroenterology) 国際会員
医学博士(昭和大学):学位論文
Polyethylene glycol solution (PEG) plus contrast-medium vs. PEG alone preparation for CT colonography and conventional colonoscopy in preoperative colorectal cancer staging. Int J Colorectal Dis 2007; 22: 69-76.

学会役員やジャーナルの役職など
Honorary Editors-In-Chief (International Journal of Radiology), Editorial Board Member (World Journal of Gastroenterology, World Journal of Radiology, World Journal of Gastrointestinal Endoscopyなど7英文誌)

日本消化器内視鏡学会 関東支部評議員
消化管先進画像診断研究会(GAIA) 代表世話人
元 日本消化器がん検診学会 代議員
日本消化器がん検診学会 大腸CT検査技師認定委員会 副委員長
日本消化器がん検診学会 教育・研修委員会委員
日本消化器がん検診学会 編集委員会 用語集改訂小委員会委員
日本大腸検査学会 評議員

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