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好酸球性食道炎

好酸球性食道炎(EoE)とは

― のどや胸の違和感・食べ物のつかえを感じる方へ ―

最近、「食べ物がつかえる感じがする」「のどや胸の奥が重い」「胃薬を飲んでも胸焼けが続く」といった症状で受診される方の中に、好酸球性食道炎(Eosinophilic Esophagitis:EoE)という病気が見つかることがあります。
かつてはまれな疾患と考えられていましたが、近年では内視鏡検査の進歩により発見されるケースが増えています。

好酸球性食道炎は、アレルギーに関係する免疫細胞(好酸球)が食道の粘膜に集まり、慢性的な炎症を起こす病気です。
喘息やアトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎、食物アレルギーなどをお持ちの方に多くみられます。

炎症が続くと、食道の壁が硬くなり、食べ物が通りにくくなることもあります。
進行すると、食事中に食べ物が食道の途中でつかえてしまうこともあります。

診断には、胃カメラ検査による観察と食道の粘膜生検が重要です

食道症状(嚥下困難、食物滞留、胸部異和感、胸焼け様感覚など)がある場合、逆流性食道炎、胃酸逆流、薬剤誘発性食道炎、感染性食道炎、食道運動障害、食道狭窄・腫瘍性病変などの病気と区別(鑑別)して診断する必要があります。そのため、診断には、胃カメラ(上部消化管内視鏡)検査による観察と食道の粘膜生検(病理組織検査)が必要です。
内視鏡では以下のような所見がみられます(すべての所見が観察されるわけではありません)。

  • 食道の表面に白い小さな点や縦のすじ(溝)がある
  • リング状のしわ(輪状狭窄)がみられる
  • 粘膜がむくんで血管が見えにくい(浮腫様所見)
  • 壁面の縮小傾向(狭小化傾向)
  • 粘膜ヒダの硬さや貼着性の低下

これらの所見があった場合は、複数か所から小さな組織を採取し、顕微鏡で好酸球の数を確認します。
1視野あたり15個以上の好酸球が認められれば診断されることが多いです。

治療の基本は「炎症を抑えて再発を防ぐこと

好酸球性食道炎は、慢性の経過をとる病気ですが、適切な治療で多くの方が良好にコントロールできます。
治療の目的は、炎症を鎮め、再び症状が出ないようにすることです。

主な治療方法

  • 酸を抑える薬(PPI)
     まずは胃酸の逆流による刺激を減らし、炎症を落ち着かせます。
  • ステロイドの飲み込み療法(局所ステロイド)
     吸入ステロイド薬を「飲み込む」形で使用し、食道粘膜に直接作用させます。
     数週間で症状が改善する方も多くみられます。
  • 食事療法(除去食)
     アレルギーが関係している場合は、原因となる食物を一定期間除去し、再導入して原因を特定したりアレルギー検査を実施します。患者様の症状や経験に基づいて特定の食品を除去することも大切です。好酸球性食道炎の原因となりやすい食物アレルゲンとして、牛乳、小麦(グルテン)、卵、大豆、ナッツ、魚介類などがあります。また、生活環境の中にある花粉や家塵ダニなども、好酸球性食道炎の発症や症状の悪化に関係していると考えられています。アレルゲンを避ける必要はありますが、栄養バランスを保つことも大切です。
  • 食道拡張術(必要な場合は中核病院にご紹介いたします)
     炎症の経過で食道が狭くなってしまった場合には、内視鏡的にバルーンを用いて広げる処置を行うことがあります。

定期的なフォローアップが大切です

症状が落ち着いても、炎症が再燃することがあります。
そのため、6〜12か月ごとの定期的な内視鏡フォローアップが推奨されています。
治療を中断してしまうと、食道の線維化が進み、慢性的な狭窄につながることがあります。

永田胃腸・消化器医院では、再発予防のために、症状・内視鏡・組織の3点を総合的に評価しながら長期的にサポートします。

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