大腸憩室炎
大腸憩室炎とは
腸管内圧の上昇により粘膜+粘膜筋板のみが腸管壁の抵抗減弱部位より脱出して発生するくぼみを「大腸憩室」といいます。憩室自体はあるだけでは無症状で、特に治療を必要としませんが、便秘などの誘因により炎症を起こしたり、出血を起こすと治療が必要となります。
憩室に炎症が起こり、発熱や腹痛を来す疾患を大腸憩室炎と呼びます。
軽症で外来治療が可能な場合もありますが、炎症が強いと膿瘍、穿孔、腹膜炎などを起こし、入院や手術が必要になることもあります。
図 大腸憩室(当院の検査症例。患者様には画像使用の許可・同意を頂いております)
S状結腸に憩室が多発しています。慢性大腸憩室炎の診断です。
軽度の腹痛から始まり、炎症が広がるにつれて腹痛の範囲、強さが増していきます。また発熱も来すようになります。多くは適切な治療で改善しますが、炎症が強い場合には膿瘍、穿孔、腹膜炎などを起こし、入院や手術が必要になることがあります。強い腹痛や高熱がある場合は早めの受診が大切です。また炎症により腸管の内腔が狭窄し、便秘、腸閉塞となることもあります。
なぜ大腸憩室炎になるのですか?
大腸憩室は、腸の壁の一部が外側に袋状に飛び出したものです。主な原因は「便秘」などによる腸管内の圧力上昇や、加齢による腸壁の脆弱化と考えられています。この憩室の中に便が詰まり、細菌が繁殖することで炎症(憩室炎)が起こります。
大腸憩室炎の検査・診断について
当院での検査方法 憩室炎が疑われる場合、まずは診察と血液検査で炎症の程度を評価します。また、炎症の広がりや合併症(膿瘍や穿孔)の有無を正確に診断するために、腹部エコーや腹部単純写真(レントゲン)検査を行います。 炎症が強い急性期は、腸に負担をかける「大腸カメラ(内視鏡)」は原則として行わず、症状が落ち着いてから(約6〜8週間後)に、がんやポリープなどの他疾患がないか確認するために実施を検討します。
大腸憩室炎の治療について
軽症の場合は、自宅での安静と消化の良い負担のない食事、抗菌薬の内服で治療が可能です。
しかし、強い痛みや高熱がある場合、あるいは炎症が周囲に波及している場合は、点滴治療や絶食管理のための入院が必要となることがあります。その際は、速やかに地域の基幹病院をご紹介いたします。
予防・食事のアドバイス
大腸憩室炎は再発しやすい病気です。落ち着いた後は、以下の点に注意しましょう。
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食物繊維の摂取: 便通を整え、腸管内の圧力を下げます。
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こまめな水分補給: 便秘を防ぎます。
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適度な運動: 腸の動きを活性化させます。
- 乳酸菌製剤・整腸剤や漢方薬の服用:必要に応じて処方いたします。
このような症状があるときはご相談ください
- 持続する腹痛
- 発熱
- お腹を押すと痛い
- 押して離すとお腹に響く
- 歩くとお腹に響く
- 便秘、下痢
- 吐き気
- お腹の張り
※痛む場所は炎症の部位によって異なります。腹痛と発熱が続くときは、感染性腸炎、虫垂炎、虚血性腸炎、大腸がんなど他の病気との見分けも重要です。
静岡県西部地方で腹痛や発熱がある方へ
「ただの便秘かな」「少し様子をみよう」と思っていても、大腸憩室炎のことがあります。腹痛や発熱が続く場合は、早めの診察が大切です。永田胃腸・消化器医院では、症状や重症度に応じて必要な検査や治療方針をご提案し、治療後の大腸カメラのご相談にも対応しています。
参考文献
AGA Clinical Practice Update on Medical Management of Colonic Diverticulitis (2021)
Diverticular disease: diagnosis and management (NG147, 2019)
Antibiotics for uncomplicated diverticulitis (2022 update)
この記事の執筆者
理事長・院長 永田 浩一
略歴
1996年 国立群馬大学医学部医学科卒業
1996年-2001年 東京女子医科大学 附属第二病院(現 足立医療センター) 外科
2001年-2007年 昭和大学 横浜市北部病院 消化器センター
2007年-2011年 ハーバード大学 医学部 放射線科
2011年-2014年 亀田メディカルセンター 消化器科・放射線科 部長
2014年-2015年 NTT東日本伊豆病院 健診センター 特任部長
2015年-2019年 国立がん研究センター 検診研究部 検診評価研究室長
2018年4月-現在 国立がん研究センター 中央病院 検診センター (併任)
2019年4月-2026年3月福島県立医科大学 消化器内科学講座 特任教授
資格
消化器内視鏡認定医・専門医・指導医
消化器病専門医・指導医
消化器がん検診総合認定医・消化器がん検診指導医
外科認定医・認定登録医
胃腸科専門医
難病指定医
便通マネージメントドクター
アメリカ消化器内視鏡学会(American Society for Gastrointestinal Endoscopy) 国際会員
アメリカ消化器病学会(American College of Gastroenterology) 国際会員
医学博士(昭和大学):学位論文
Polyethylene glycol solution (PEG) plus contrast-medium vs. PEG alone preparation for CT colonography and conventional colonoscopy in preoperative colorectal cancer staging. Int J Colorectal Dis 2007; 22: 69-76.
学会役員やジャーナルの役職など
Honorary Editors-In-Chief (International Journal of Radiology), Editorial Board Member (World Journal of Gastroenterology, World Journal of Radiology, World Journal of Gastrointestinal Endoscopyなど7英文誌)
日本消化器内視鏡学会 関東支部評議員
消化管先進画像診断研究会(GAIA) 代表世話人
元 日本消化器がん検診学会 代議員
日本消化器がん検診学会 大腸CT検査技師認定委員会 副委員長
日本消化器がん検診学会 教育・研修委員会委員
日本消化器がん検診学会 編集委員会 用語集改訂小委員会委員
日本大腸検査学会 評議員
