【富田歯科×永田胃腸・消化器医院】お口と胃腸はつながっている|袋井市の医科歯科連携対談
永田胃腸・消化器医院では、地域の医療機関の先生方との「顔の見える連携」を通じて、 患者さんが安心して専門的な医療を受けられる環境づくりに取り組んでいます。
第4弾となる今回は、当院の近隣で長年にわたり地域の歯科医療を支えている 富田歯科 の富田貴之院長をお迎えしました。
一見すると別々に思える「お口」と「胃腸」ですが、食べる、かむ、飲み込むという働きだけでなく、 口腔内細菌、唾液、胃酸、腸内環境などを通して密接につながっています。 今回は、歯周病と腸内環境、口臭、逆流性食道炎、予防歯科、内視鏡による病気の早期発見などについて、 歯科医師と消化器内視鏡医の立場からお話を伺いました。
永田 浩一 院長
永田胃腸・消化器医院
消化器内科・胃腸内科・内視鏡内科
富田 貴之 院長
富田歯科
歯周病治療・補綴治療・インプラント治療
今回の対談のポイント
- お口の細菌と腸内環境にはどのような関係があるのか
- 口臭は歯科と消化器内科のどちらを受診すればよいのか
- 逆流性食道炎が歯に与える影響
- 歯科と内視鏡に共通する「痛みや不安を減らす診療」
- 病気になる前に取り組む予防歯科と予防医療
- 地域の医療機関が連携することで得られる患者さんのメリット
両院の紹介と、日々の診療で大切にしていること
富田院長
富田歯科は2000年3月に開業いたしました。当時は29歳と若い時期での開業でしたが、それ以来一貫して、歯周病や補綴・インプラント治療を終えた患者様のメンテナンスを中心とした診療を行ってまいりました。
開業10年目頃からは矯正や口腔外科の専門医の先生方にも診療を手伝っていただけるようになり、高い専門性を持った治療を提供できる体制が整っております。
現在は代診の医師3名、そして13名の歯科衛生士とともにチーム医療を推進しています。小さなお子様からご年配の方まで、地域の皆様が生涯にわたって安心して通っていただける歯科医院を目指しております。
永田院長
永田胃腸・消化器医院は、袋井市の富田歯科さんの近隣で開院しております。
専門は消化器内科、胃腸内科、内視鏡内科です。特に力を入れているのが「苦痛のない内視鏡検査」で、患者様が”うとうとしている間”に検査が終わってしまうような工夫を凝らしております。
大腸がんは、日本の女性のがん死因第1位、男性の第2位となっていますが、実は早期にポリープを切除することで予防ができる病気です。
当院でも大学の教授・前教授や女性医師など、信頼できる専門医のサポートを受けながら、苦しくない大腸カメラを通じて地域のがん予防と健康維持に貢献したいと考えております。
「お口」と「胃腸」は、どのようにつながっているのでしょうか
富田院長
私が学生だった頃は全身と口腔の関係はまだ十分に解明されていませんでしたが、近年多くのエビデンスが出てきました。
昔は「お口の細菌を飲み込んでも強力な胃酸が殺菌・分解してくれる」と思われがちでしたし、私もそう信じていた時期がありました。しかし、胃酸のpHは空腹時こそ1〜1.5と強力ですが、食事直後はpH4〜5まで上がります。そのため、口腔内細菌の5割以上が胃酸をすり抜けて腸へ到達すると言われています。
歯周病菌が腸内に定着・影響を与えることで腸内細菌叢が変わり、関節炎やポリープの形成など全身疾患を引き起こすことが動物実験等でも明らかになってきています。
また、最新の研究動向として、先日の歯周病学会でも話題に上がったのですが、玄米など腸内細菌叢に良い栄養素を含む食事を摂っている方は、歯周病になりにくく重症化しにくいというデータも出てきています。
まだ研究段階の知見ではありますが、お口の健康と腸の環境、そして日々の食生活が密接に相互影響し合っていることは間違いありません。
永田院長
富田先生のおっしゃる通りです。現在、歯周病菌と腸内細菌の関連性を示すエビデンスが相次いで発表されています。
さらに近年は医学の進歩により、胃潰瘍治療やピロリ菌除菌などで胃酸を強力に抑えるお薬(PPIやP-CAB)が広く普及しています。これにより胃酸が長時間中和された状態が続くため、お口の中の細菌が小腸や大腸へ届きやすくなり、口腔内環境と腸疾患の関係性がより高まっているという報告も散見されます。
また、消化器科の現場でもよく見られる機能的な問題として、ストレスなどが原因で唾液分泌が減少してしまうケースがあります。唾液が少なくなることで食べ物をスムーズに飲み込めなくなり、「喉に違和感がある」「食道が腫れぼったい感じがする」「胸やけがする」といった症状を訴えられる患者様が多くいらっしゃいます。
唾液の減少、食道や胃の運動機能低下が複雑に絡み合うこうした症状は、まさに歯科と消化器科が重なり合う重要な領域だと感じています。当然、歯の機能低下でしっかり咀嚼(そしゃく)できないことも、胃に大きな負担をかけ、胃もたれや胸やけ、機能性ディスペプシアなどの原因に繋がります。
口臭や逆流性食道炎を通じた、歯科と消化器内科の連携
永田院長
消化器領域で患者様からよく相談される症状の一つに「口臭」があります。
口臭の原因として消化器疾患が関わることもありますが、実は約9割はお口の中、特に歯周病や虫歯などに起因しています。ですので、当院に口臭の相談でいらした患者様には、まず「歯科で専門的にチェックしてもらっているか」を確認し、先に歯科を受診していただくようご案内しています。歯科で問題がない場合に初めて、ピロリ菌感染や胃がん、食道がんなどの検索を行います。
実際に「ピロリ菌を除菌したら口臭が消えた」と喜ばれる患者様も少なくありません。
富田院長
口臭の大部分は歯周病や虫歯、被せ物の隙間の汚れなどが原因ですね。
最近のご高齢の方で多いのは、独居などで人と話す機会が減り、舌が動かなくなって汚れ(舌苔:ぜったい)が溜まり、異臭を発するケースです。このような汚れがあるなかで飲食を続けると全身状態にも悪影響が出ますので、歌を歌ったり人と話したりすることの大切さもお伝えしています。
また、近年は生活習慣や肥満、加齢などにより「逆流性食道炎」になる患者様が増えており、胃酸の逆流が歯を溶かすなどの悪影響を及ぼすことがあります。口腔内にそうした要因が疑われる場合は、積極的に永田先生にご紹介していきたいと考えております。
口臭が気になる場合の受診の考え方
- まずは歯周病、虫歯、舌苔、ドライマウスなど、口腔内の原因を歯科で確認します。
- 歯科治療後も改善しない場合は、消化器疾患や耳鼻咽喉科疾患なども検討します。
- 胃痛、胃もたれ、胸やけ、飲み込みにくさ、体重減少を伴う場合は消化器内科へご相談ください。
- 口臭だけを理由に、必ずしも胃カメラが必要になるわけではありません。
「痛そう」「怖い」を減らし、安心して通える医院へ
永田院長
以前は、胃カメラや大腸カメラは「我慢して受けるもの」という考え方もありました。 しかし、一度つらい検査を経験してしまうと、 その後の検査を避けるようになり、 病気を早期に発見する機会を逃してしまう可能性かつての医療現場では、胃カメラ検査や大腸カメラ検査は「修行のように我慢して耐えるもの」という風潮がありました。
しかし、一度痛い思いをして検査を避けるようになってしまうと、早期がんを発見する貴重な機会を逃してしまいます。そのため当院では、鎮静剤を用いてなるべくご負担なく検査を受けていただくことを最も大切にしています。
また、患者様に対して上から目線で指導したり怒ったりすることなく、気軽に相談できる雰囲気づくりをスタッフ一同徹底しております。
血便などの症状が出た際の不安をすぐに解消できるよう、専門医の体制を整えて「即日または数日以内」に素早く検査を実施できるよう心がけています。
富田院長
歯科医院も「痛い」「治療の音が嫌だ」と敬遠されがちな場所です。
当院では開業以来、「麻酔をする際の痛みさえも無くす」ことに徹底的にこだわってきました。注射の前に表面麻酔を念入りに行い、33ゲージという極めて細い針を使用し、電動注入器で注入速度を細かくコントロールすることで、3歳のお子様でも泣かずに受けられる麻酔を実践しています。
急な痛みを抱えた患者様に対しては、予約制であっても合間の時間を使ってその日のうちに応急処置を行うよう対応しています。
車社会の袋井市に合わせ、駐車場も17台分確保し、物理的にも通いやすい環境を整えています。。
治療だけではなく、病気を防ぐ「予防」を大切に
富田院長
虫歯や歯周病は重症化させない「予防」が第一です。当院では、患者様のリスクや口腔環境に合わせて3ヶ月〜半年ごとに定期メンテナンスにお呼びしています。13名の歯科衛生士が中心となり、歯石除去(スケーリング)やブラッシング指導を行っています。
指導の際は、患者様ごとに「あなたにはこの歯ブラシと清掃器具が必要です」と、まるで“歯ブラシを処方する”ように最適な器具を選定しています。
万が一定期検診の期間が空いてしまっても、患者様を叱ることは一切せず、常にその時の状態を最適に保てるよう寄り添ったサポートを行っています。。
永田院長
当院では大腸がん・胃がんの予防に最注力しています。
大腸がんは、ポリープの段階からがん化するまでに数年という長い猶予期間(前がん状態)があります。この期間に内視鏡検査を受け、ポリープのうちに切除してしまえば大腸がんは確実に予防できる病気なのです。
胃がんについても、ピロリ菌を早期発見して除菌治療を行うことで発症リスクを大幅に下げられます。
また当院では、自費診療にはなりますが「腸内フローラ判定検査」も導入しています。検査結果から腸内環境のバランスを把握し、飲酒習慣や血圧上昇のリスクなど、日々の生活習慣を改善するための具体的なアドバイスに役立てていただいております。
医科歯科連携で、患者さんを地域全体で支える
永田院長
当院で消化器を診ていく中で、お口や歯周病のチェックが必要な場合には、心から信頼できる富田先生のような専門医をご紹介しております。
富田先生のお人柄や治療に対する情熱は、本日の対談を通じても皆様に伝わったかと思います。
ドクター同士が強く連携することは、地域住民の皆様にとってプラスにしかなりません。これからも連携を深め、患者様に最良の医療を提供してまいります。
富田院長
永田先生は専門知識が非常に豊富で、消化器関連のお悩みは全幅の信頼を寄せておまかせしております。
医学の祖ヒポクラテスも「すべての病気は腸より始まる」という言葉を残していますが、腸内環境と全身の健康は密接に繋がっています。
永田先生が目指されている「大腸がんゼロ」の目標に向けて、私たち歯科医院も口腔内環境を整えることで力になりたいと考えております。全身の健康を守る第一歩として、ぜひお口の健康にも意識を向けていただければ幸いです。
対談を終えて
お口の病気と胃腸の病気は、すべてが直接結びついているわけではありません。 しかし、かむ、飲み込む、消化するという一連の機能や、 口腔内細菌、唾液、胃酸、食生活などを通して、 歯科と消化器内科には多くの接点があります。
「どの診療科を受診すればよいか分からない」という場合も、 まず身近な医療機関へご相談ください。 必要に応じて専門医同士が連携し、 適切な診察や検査へおつなぎします。
参考文献・参考資料
Periodontal treatment and microbiome-targeted therapy in systemic diseases
Proton pump inhibitors affect the gut microbiome
Aetiology and associations of halitosis: A systematic review
Association between gastro-oesophageal reflux disease and dental erosion
Colonoscopic polypectomy and long-term prevention of colorectal-cancer deaths
Helicobacter pylori eradication therapy to prevent gastric cancer
